2024年5月22日、米国下院は、仮想通貨に新たな規制枠組みを確立することを目的とした重要な法案、FIT 21法案を可決した。この法案は現在上院に提出され、審議が行われる予定である。この法案は仮想通貨資産に関する包括的な法的枠組みを提供し、商品先物取引委員会(CFTC)に仮想通貨分野の監督権限を与える一方で、証券取引委員会(SEC)の役割を縮小することを目指している。
ホワイトハウスはこの法案に反対の立場を表明しており、ジョー・バイデン大統領が拒否権を行使するかどうかは明らかにしていない。FIT 21法案の支持者は、デジタル資産業界に必要な規制の明確さを提供し、消費者と投資家の利益を保護すると主張している。一方、批評者は、法案が不明確な規制の「空白」を作り出し、投資家や資本市場に不確実性をもたらすと警告している。
支持と批評
仮想通貨企業や提唱団体は、この法案を支持しており、仮想通貨イノベーション委員会は声明で、「FIT 21法案は仮想資産企業の法令遵守を促進し、明確な規制は消費者にとってより安全かつ責任あるものになる」と述べた。
FIT 21法案の支持者であるアーカンソー州のフレンチ・ヒル下院議員は、「仮想通貨企業は証券取引委員会(SEC)の監視を受けるため、米国での運営を継続することで訴訟のリスクに直面している」と言う。
しかし、今状況は変わった。ヒル氏は「この法案は消費者保護法や中介機関の資本要件、さらにはより厳格な管理基準など、さまざまな規則を確立している」と述べた。
南カロライナ州共和党の下院金融サービス委員会パトリック・マクヘンリー委員長は、FIT 21法案が、「技術革新や発明の面でアメリカのグローバルリーダーシップの地位を強化する」と強調している。
一方、SECのゲイリー・ゲンスラー委員長を含む批評者たちは、この法案が投資家や資本市場に「予測不可能なリスク」をもたらすと懸念している。
ゲンスラー委員長は、「FIT 21法案は新たな規制の空白を作り出し、投資契約の監督に関する数十年の前例を破壊し、投資家や資本市場に予測不可能なリスクをもたらす」と警告している。
また、彼はこの法案は不道徳な行為者が仮想資産を利用して証券法の監視を回避することを許す可能性があると指摘した。
仮想通貨業界の失敗、詐欺、破産の記録は、多くの場合、規制がないためではなく、業界参加者が、既存の規則を守らないためだとゲンスラー氏は強調した。2023年4月のピュー研究センターの調査によると、米国人の75%が仮想通貨の安全性と信頼性に対して、自信を持っていないという結果が出ている。
共和党の「暗号通貨軍団」
共和党では、ドナルド・トランプ前大統領が、2024年の選挙活動で暗号通貨に方針を転換し、彼の選挙チームは暗号通貨の寄付を受け付けることを発表している。ノースカロライナ州のウィリー・ニックルズ下院議員は、「デジタル資産は党派問題にすべきではない」と述べ、Web3(ブロックチェーン技術を基盤とした分散型のインターネット)を両党の協力で支持し続ける姿勢を示した。
最近の世論調査データによると、暗号通貨保有者の支持がバイデン大統領からトランプ前大統領に移行していることが明らかになっている。2024年3月のパラダイム・ポリシーの世論調査によると、48%の暗号通貨保有者がトランプ前大統領を支持しており、39%が現職のバイデン大統領を支持している。
さらに、世論調査では、重要な州の選挙人の5分の1が、2024年の選挙で暗号通貨は重要な問題であると考えている。トランプ前大統領の選挙チームは、ビットコイン、イーサリアム、米国デジタル通貨、ドッグコイン、そしてシバイヌコインの寄付を受け付けている。
FIT 21法案の通過は、米国が暗号通貨の規制において、重要な一歩を踏み出したことを示している。ホワイトハウスや一部の規制機関からの反対に直面しながらも、この法案の支持者はデジタル資産業界に必要な規制の明確さを提供し、消費者と投資家の利益を保護すると考えている。次に、法案は上院で審議され、最終的な運命が注視される。
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