中国 過度の学習プレッシャーで多くの子どもがうつ病に。命よりも、受験を重視せよというスローガン

中国の教師が語る「教育ではなく監獄のような毎日」 

2024/05/15
更新: 2024/05/15

「進学率を求められるなかで、過度の学習プレッシャーを受けて多くの子どもがうつ病になり、自殺者も出ている」

「まるで監獄にいるような仕事環境のなかで、精神的にギリギリな状態で働いている。給料をもらえない時もある……」

中国のリアルな教育環境について、NTD新唐人テレビの取材に応じた教師や学生保護者は明かす。

河南省鄭州市の中学校教師の何(か)さんの場合、「仕事のプレッシャーがハンパではない。ある意味拷問のようなものだ。政府の教育部門は口先ばっかりでやることをやらない。大卒して教師になった場合、月給は2300元(約5万円)しかない。ただでさえ少ない給料なのに、給料が支払われない時もある。教師仲間のなかには、何か月も給料もらっていない人がいる」

「学校側が進学率を強く求めてくるため、教師は子供たちに勉強を強要する羽目になる。その結果、多くの子供がうつ病になってしまった」

「教師として、こんな仕事環境はもはや教育とは言えない、まるで監獄にいるようなものだ。朝6時から夜中の11時まで、繰り返される毎日のなかで、ギリギリの精神状態でやっている。いつか自分も精神的に崩壊しそうだ」

中国の生徒たち(イメージ画像、NTD新唐人テレビの報道番組より)

「中国共産党の教育制度が子どもたちを自殺へ追い詰めたんだ」

江蘇省揚州市に住む学生保護者の顧(こ)さんは「子どもの高校では朝6過ぎから朝自習が始まり、夜は9時過ぎになってようやく学校での勉強が終わる。揚州では毎年自殺者が出ている。子どもたちは中国共産党の教育制度によって追い詰められたのだ」と糾弾した。
 

中国では近年、校舎をふくむ高い建物から飛び降りるなどして、自ら命を絶つ学生が後を絶たない。

勉強漬けで、とにかく成績至上主義。そのため、親や周囲からの巨大なプレッシャーに押しつぶされるか、死に物狂いで受験勉強し著名な大学に入学したとしても、そこを卒業すれば、今はすさまじい就職難で、仕事はデリバリー配達員しかない。

そうした現状から、将来に希望を持てない学生が極めて多いことが、急増する自殺の大きな原因になっている。生徒の自殺を防止するために、校舎の窓などに「鉄の柵」や「金網」を張り巡らす学校も出てきているくらいだ。

中国のある学校に設置された「生徒の飛び降り自殺を防ぐための鉄の柵」、2024年1月(SNSより)

中国の一部の高校の教室には「生命は輪廻転生すれば何度も得られるが、高考(大学入試)は一度しかない。(生命可以輪回、高考只有一次)」と書かれたスローガンが掲げられている。

要は「命よりも、受験を重視せよ」と言いたいらしいが、ここまでくると教育というより、もはや「狂気」に近い。

中国の高校の教室にげられたスローガン、「生命は輪廻転生できるが、大学受験は1回しかない」と書かれている (中国のネットより)

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!