コロンビア大の反イスラエル抗議は中共による情報操作

2024/05/04
更新: 2024/05/04

米国の大学キャンパスで反イスラエル抗議が拡大しており、中共(中国共産党)がこの機会を利用して米国政府に対して「言論の自由の侵害」だと非難し、注目を集めている。しかし一方で、中共が事実を歪めているとの指摘が強まっている。

4月17日、ニューヨークのコロンビア大学で、反イスラエルを訴える学生たちがキャンパスにテントを張り、イスラエルのガザにおけるハマスへの軍事行動に抗議し、大学に対してイスラエル関連の金融資産と切り離すよう求めた。

中にはイスラエルの首相ネタニヤフに対する暗殺を示唆するような過激な発言も飛び出した。

コロンビア大学は声明を発表し、抗議する学生たちにキャンパスからの退去を求め、応じない場合は処分を行うと警告した。

4月18日、ニューヨーク市警は100人以上逮捕した。

その後も抗議はエスカレートし、4月22日にはコロンビア大学が全授業をオンラインに移行するという措置を取った。

コロンビア大学で起きた騒ぎの中で、何人かがドアや窓を壊し、建物の入口を塞ぎ、キャンパス内の建物を無理やり占拠し、屋上ではパレスチナ国旗を振る様子も見られた。

4月30日の夜、ニューヨーク市警が大学の要請に応じてコロンビア大学に再出動し、騒ぎに加わった数十人を逮捕した。その後、市長のアダムス氏は、占拠されたハミルトン学術ビルの中の騒ぎの参加者たちは外部の人間であり、大学の職員や学生ではないとはっきりと述べた。

米国の下院議長ジョンソン氏は、公に再び発言し、騒動の中止を求めた。

米国合衆国の下院議長ジョンソン氏は次のように述べている。

「これは思想の自由を表現する行為ではなく、脅威を与え、煽動する発言であり、極めて危険だ。現在、人々がヒズボラやハマスの旗を掲げ、昨年10月7日に起きたテロ事件を支持する手作りの標識を持っているのを目撃している。これは絶対に許されないことだ」

昨年の10月7日には、ハマスがイスラエルに突然攻撃をかけ、約1200人が亡くなり、253人が人質となった。これを受けて、イスラエルはハマスに対して宣戦を布告した。

コロンビア大学で起きた暴動が全米に波及し、現在、米国各地の多数の学校で同じような動きが見られ、1千人以上が逮捕される事態になっている。

中共はこの事態を利用して米国を批判し、警察の行動を「弾圧」と表現し、言論の自由を侵害しているとして大きな論争を引き起こしている。多くの人々は、中共が実際の状況を歪めていると考えている。

元天安門事件の指導者で経済学者の李恒青氏は次のように述べた。

「各学校には基本的な規則がある。たとえばコロンビア大学では、夜間の滞在やテントの設置が禁止されている。これははっきりとした規則だ。法と秩序を無視して問題を解決しようとする行為は、罰されるリスクがある。規則にはそれなりの制限が存在する」

李恒青氏の分析によると、中国の学生が訴える民主主義と自由、そして米国の一部の学生が示すテロリズム支持は、根本的に異なるもので、米国警察の排除行動と中共の弾圧行為は、その本質が異なり、一緒に論じることは不適切だとしている。

「米国においては、米国が民主主義の国だということが広く認識されている。市民の言論の自由は、特に保護されている。しかし、かつての中国においては、自由な表現の機会が全く存在しなかったという事実に起因している。どれだけ声を上げても、常に無視されるのが普通だった」

無視どころか中国では声をあげたがゆえに弾圧、虐殺された事件も発生した。「六四天安門事件(1989年6月4日、北京の天安門広場に集まり民主化を求める学生や市民を、中国の軍隊である人民解放軍が武力で鎮圧したもの)」だ。

中国問題の専門家、王赫氏は「六四天安門事件」は、学生たちが主導する愛国心に満ちた民主化運動だったが、彼らは無防備な状態だった。中共は、国際社会の批判を無視して、公然と学生たちを弾圧したと述べている。

李恒青氏は「1989年の中国の学生運動の際、共産党は最終的に20万人以上の正規軍を動員して北京を封鎖した。機関銃や戦車を使用して、武器を持たない市民や学生たちに対して北京の街で直接的な虐殺を行った。これは、現在の米国の状況とは根本的に異なる」と述べている。