中国経済 https://www.epochtimes.com/b5/24/4/30/n14237702.htm

アップル、中国から撤退  フォックスコン工業エリアほぼ空っぽ

2024/05/01
更新: 2024/05/01

地政学的な緊張を避けるため、アップルなどアメリカ企業の台湾ファウンドリメーカー(半導体製造の前半の工程の作業を請け負い、顧客の設計データに基づいた受託生産をする会社の業界)は、中国本土から生産拠点を移転させている。航空撮影動画では、南寧市にあるフォックスコンの工業団地の一部が廃業され、荒れ果てた光景が広がっているのが確認できた。フォックスコンはアップルのiPhoneの主要なサプライヤーの一つだ。

台湾の企業は1990年代に中国市場に参入し、その地を世界の製造工場に変える上で中心的な役割を担っていた。30年が経ち、台湾を含む世界の大手企業は、労働コストが低く地政学的リスクが少ないインドやベトナムなどへの生産拠点の移転を積極的に進めでいる。

4月29日にYouTubeチャンネル「中国观察家」(China Observer)で公開された動画には、かつては活気に満ちていたフォックスコンの工業団地が、今は静かで荒廃した状態であることが映されている。

公開資料によれば、この工業団地はかつて5万人の従業員がいたが、事業が海外に移された後、ほぼがらんどうの状態になってしまった。

動画の撮影者によれば、以前、南寧のフォックスコン工場は5万人の従業員のニーズを満たすために、1日あたり60トンの米、280頭の豚、120万個の卵、8万羽の鶏など、多くの食材を必要としていた。

ユーチューバー「I’m Jie Shao」は5か月前に投稿された動画の中で、多くのネットユーザーがフォックスコンのベトナム移転について議論したのを受け、何が起こっているのかを知るために南寧のフォックスコンの工業団地に足を運んだと述べた。動画には、団地の採用センターの入り口に貼られた「募集停止」のお知らせが映っている。 南寧フォックスコンの公式サイトにも募集停止と書かれている。動画の投稿者は、以前はフォックスコンの低賃金と重労働のため、退職する従業員が多く、常に新しい従業員を募集する必要があると述べていた。 

ニッケイ・エイジア(Nikkei Asia)は昨年、フォックスコンはベトナム北部のバクザン省に多額の投資を行っていると報じた。

ベトナムのメディアは昨年夏、フォックスコンがさらに3億ドル(約443億1千万円)を投資し、3万人の従業員を雇用する計画だと報じた。今年2月、フォックスコンは45ヘクタール(45万平方メートル)の土地を2057年まで賃貸する契約に調印した。 2025年までに、フォックスコンの生産の約30%は中国本土以外で行われるようになると予想されている。

昨年、大紀元は鄭州市にあるフォックスコンの工業団地が生産能力の移転に伴い、従業員数がピーク時の30万人から6〜7万人に激減したと報じた。鄭州工業エリアの従業員の生活支援エリアである 「豫康新城 」の商業歩行者天国は人影がほとんどなく、通りの両側の商店はほとんど閉店し、両側の店舗もほとんど閉店しており、一部は賃貸や譲渡の看板を掲げている。

鄭州におけるフォックスコン工場の生産拠点移転による負の影響と同様に、工場自体の廃墟の映像が広まっただけでなく、労働者の流出が南寧の不動産市場や事業体にも影響を与えている。

アップルが先週発表したデータによると、2023年にはアップルの465の生産拠点のうち156が中国にあり、全体の33.6%を占めるという。 これは5年前の46%から増加している。 失われたシェアのほとんどは、ベトナム、台湾、韓国、インドといった国々に流れている。 2023年以降、iPhoneの新モデルは発売以来、インドと中国の両方で生産されている。

李皓月
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