制裁を恐れ、中露貿易は「裏ルート」にシフト

2024/05/01
更新: 2024/05/01

ロイター通信によると、中国の主要な銀行がロシアとの金融取引を停止し、中国の一部企業は国境地帯の小さな銀行や通貨ブローカーなど非公式な資金調達ルートに頼るようになり、禁じられている仮想通貨の使用に手を染めるケースも出てきている。また、ロシア市場から完全に手を引いた企業もあるようだ。

2022年、ロシアがウクライナに侵攻して以降、米国はロシア及びその企業に対して複数の制裁を実施している。中共(中国共産党)がロシアの軍事支援をしているとされ、米国は中国の銀行への制裁を強化することを示唆しており、これが中露間の非軍事的な貿易融資にも影響を与えている。

中国の国有銀行は、ロシアとの取引によって米国から制裁を受けるリスクを懸念している。

ある国有銀行の職員は、「3月以降、ロシア関連の取引に対する監視を強化し、制裁リスクを避けるために余計なトラブルを回避することを最優先している」と述べている。

ロシアのある銀行家によると、中国の銀行が顧客の身元確認ができない状況で、仮想通貨による支払いが唯一の選択肢となっている。中国では2021年より仮想通貨の利用が禁止されており、この種の裏金融取引の規模は、今のところ明確ではない。

米国政府の関係者は、中共に対して、軍事利用と民間利用の両方に使える製品の取引に関わる中国の金融機関に対する制裁を取る準備ができていると警告した。さらに、中国の一部銀行に対する制裁措置についての初期段階の議論が進行中であることが明らかになったが、これらの措置を実施する具体的な計画はまだワシントンには存在しないと、米国政府の関係者がロイターに伝えた。

ブリンケン国務長官が最近の中国訪問で、中共のトップに対し、大西洋を越えた安全保障が米国にとっての重要な利益であることを強調し、「中国がこの問題を解決しなければ、米国は行動を起こす」と警告した。

ロイターの報道によれば、広東省にある上場している電子機器メーカーのマネージャーは、3月初めから中国の主要な銀行がほとんどロシアとの取引を停止していると述べた。

そのマネージャーは3月以降、7つの異なる銀行に口座を開設したが、いずれもロシアからの送金を受け入れていないと述べ、「ロシア市場から手を引く決断をした……送金の手続きは非常にストレスがかかる」と語る。

今のところ、中国の東北部、ロシア国境に近いいくつかの農村銀行が送金を受け付けているものの、処理にはボトルネック(業務の停滞や生産性の低下)が発生している。商人たちは口座を開くために数か月待たされる状況だ。

送金の手続きが長引き、複雑であるため、中国の企業の中にはロシアとの取引を減らす動きが出ている。

広東省のある家電製造会社の経営者王氏は、ロシアでの事業規模を縮小するかもしれないと考え直している。「もっと懸念しているのは、将来どのような状況が発生するか予測できないことだ。取引ルートがいずれ完全に閉鎖されるかもしれない」と王氏は心配している。