中国のゴールデンウイーク(「黄金週」)と呼ばれる労働節の大型連休(5月1~5日)を控えるなか、国内各地の大学が突然、「学生による『勝手』な集団旅行(自転車やドライブ旅行も含む)」を厳しく禁じる」通達を出していたことがわかった。
関連話題は中国SNSのトレンド入りし、熱い議論が巻き起こっている。
多くの大学が一斉に学生の集団旅行を禁じる理由について、SNS上では「心に不満をためている大学生が中共(中国共産党)政権に対する抗議集会を組織したり実行したりできなくするための予防策ではないか」と考える声が根強い。
「白紙革命」の再来を恐れているのか
何も書いていない「白い紙」を手にして、広場や街頭に立つ一般市民や学生たち。声を出さず、スローガンの文字も掲げていなかったが、彼らの心は一つであった。
2022年11月、まだゼロコロナ期間中であった中国の各地で、中国共産党のゼロコロナ政策を批判する「白紙革命(白紙運動)」と呼ばれる大衆運動が行われていた。
その時、大勢の市民や学生は手に白い紙を掲げて「静か」に街頭に立った。なかには、「自由、民主、公民の権利を求める」「我に自由を与えよ。然らずんば死を (不自由,毋寧死 )」などと声を上げて叫ぶ者も少なくなかった。
現在、中国のネットでは厳しい検閲が敷かれており、「白紙革命」に関連するワードは検索することができない。
そんな「白紙革命」の再来に神経を尖らせる中共当局は安定維持の強化に躍起になっている。
大学生が「不安定要因」の1つ
中国メディア「澎湃新聞」によると、蘭州交通大学、江蘇工程職業技術学院、江蘇師範大学外国語学院、成都理工大学機電工程学院、中南大学公共管理学院など、各地の多くの大学が、同様の通知を出している。
大学側が、学生の集団旅行を禁止する理由については「連休中の安全のため」としているという。
地方重点大学である「成都理工大学」などでは、学生に対して「外出」および「帰宅」の際には、クラス担任に報告して許可を得ること、許可の場合でも外出の「過程」について、事後報告を求めている。
また一部の学校では、連休中はキャンパス内で、小規模かつ分散的に活動するよう学生に推薦し、北京大学、北京理工大学光電学院、河南省駐馬店職業技術学院、安徽工程大学、重慶理工大学などでは、学生に対し、「旅行する際には必ず家族や友人とすること、知らない人と出かけたり会ったりしないよう」求めている。
経済悪化や大学生の就職難が深刻化するなか、「大学生」は中国共産党当局にとって、「不安定要因」の1つとなっており、そのため、大学生に対する統制が日増しに強まっている。
これに先立ち、多くの大学が危険だとして、学生が宿舎内でベッドカーテン(天蓋付きベッド用カーテン)を使用することを禁じていた。
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