2024年米大統領選に向けて動き出したトランプ前大統領が、11月5日の選挙の日を「クリスチャン可視化の日」にすると新たな宣言をした。支持基盤であるキリスト教徒、特に福音派への結束を促し、投票を呼びかける狙いがあるとみられる。
クリスチャン可視化の日は、トランプ氏が主張する新たな概念。これは、バイデン大統領が3月31日の復活祭の日曜日を「トランスジェンダー可視化の日」と呼んだことへの対抗策だ。復活祭は、キリスト教で最も重要な祝日の一つ。それが性的マイノリティの権利を尊ぶ日と大統領が述べたことで、キリスト教団体からは強い反発の声が上がっていた。
ミシガン州のジョシュア・シュライバー共和党議員はバイデン氏の発言に反発。復活祭について「性転換や自傷行為を祝うことはない。イエス・キリストの復活を祝うのだ」とSNSで訴えた。
「トランスジェンダー可視化の日」は、15年前にトランスジェンダー支援団体のレイチェル・クランドール=クロッカー氏が提唱したもの。当初は広がりを見せなかったが、近年LGBTQの権利への関心の高まりとともに、次第に米国では認知度を増してきた。バイデン政権は就任後、毎年3月31日を「トランスジェンダーの可視化の日」と位置づけてきたが、今年はたまたま、復活祭と同じ日になった。
これを受けてトランプ氏は、バイデン氏の決定を「キリスト教徒に対する侮辱だ」と非難。対抗して11月5日を「クリスチャン・ビジビリティ・デー」とすると宣言した。
バイデン氏の発言を受けてホワイトハウスは釈明に追われた。「復活祭の日は毎年異なる日曜日に当たる。今年は偶然トランスジェンダーの可視化の日と重なっただけ」とジャン=ピエール報道官は説明している。
ホワイトハウスは、「復活祭の日は毎年異なる日曜日に当たる。今年は偶然トランスジェンダーの可視化の日と重なっただけ」と説明しているが、キリスト教団体の反発は収まらない。こうした出来事からも、2024年の米大統領選にはテーマとして性的少数派や宗教に対する姿勢が選挙に影響を及ぼすことが見通せる。
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