デジタル庁は24日、デジタル社会構想会議を開催し、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の改定に向けて議論を行った。会議では、楽天グループの三木谷浩史取締役会長兼社長がデジタル化を加速するための大胆な税制改革の必要性を強く訴えた。
三木谷氏は、AI時代において優秀な人材や知財、投資を日本に呼び込むためには、所得税や法人税、相続税などを抜本的に引き下げる必要があると主張。「有能な人材や資産を持つ富裕層を、世界からシンガポールや香港ではなく日本に連れてくる仕組みが不可欠だ」と述べ、税制改革なくしてデジタル化の加速はないと訴えた。さらに、「日本が世界のデジタル競争に勝ち残るためには、思い切った減税により民間投資を喚起することが急務だ」と力説した。
また、医薬品のオンライン販売規制や法人設立時の手続き簡素化、教育データの利活用の促進など、デジタル化の障壁となる規制改革の推進も主張した。
会議では、ビジネス現場からのデジタル化に関する声も紹介された。ある中小企業経営者は「電子契約やクラウドサービスの活用により、業務効率が大幅に改善した。もっと早くデジタル化を進めるべきだった」と述べた。また、医療機関の担当者からは「オンライン診療の規制緩和により、患者の利便性が向上した。デジタル技術を活用した医療サービスの拡大に期待したい」との意見が寄せられた。
一方、個人情報保護法の見直しに関する個人情報保護委員会の検討状況や、地方自治体の基幹システムの標準化、マイナンバーカードの普及などデジタル化の進捗も報告された。山口県の村岡嗣政知事からは、自治体のシステム移行に対する財政支援の必要性が指摘された。
政府は2021年に策定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づき、社会全体のデジタル化を推進している。デジタル庁は、今回の会議での意見を踏まえ、今後の重点計画の改定作業を進めていく方針だ。
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