今月18日夜、年末の正式稼働を目指す西安(陝西省)地下鉄10号線が走行試験中に追突事故を起こしたことがわかった。列車運転に関わっていたスタッフ1人が死亡し、2人が負傷した発表された。
事故原因について、「運転担当者による不適切な操作がもたらした事故」と西安当局は主張しているが、中国のネット上で事故関連話題が検閲されていることから、「本当に単純な事故か」と不安視する声が広がっている。
海外SNSには衝突によって前面が大破し、車体がひどく変形した西安地下鉄10号線の事故車両画像などが拡散されているが、中国国内では当局が情報封鎖に乗り出しており、事故関連画像やコメントは中国SNSにおいてキレイに削除されている。
報道によると、10号線の建設は2020年7月から始まっており、今年2月には初となる列車の走行試験が行われていた。
「本当に単純な事故なのか」
今回事故が起きた「10号線」は「無人の自動運転地下鉄路線」が売りだった。
「運転担当者の不適切な操作が事故につながった」と当局は主張しているが、一貫して「責任逃れを習性とする」中共(中国共産党)当局の言い分を真に受ける人は少ない。
公開情報によると、西安地下鉄10号線第一期の「鉄道信号システム」の建設を受注したメーカーのなかに、自動車メーカー大手のBYD(比亜迪)の子会社「比亜迪通信信号有限公司」が含まれていたのだ。
「10号線の建設に関わったメーカーにBYDの名がある」このことをめぐり、SNS上では、「なるほど、だから検閲されたのか」と納得する声も多い。
「国産(愛国)ブランド」という名の過保護(後ろ盾)
今月11日、中国通信機器大手の華為(ファーウェイ)の新型EVフラッグシップSUVの「AITO(アイト、問界) M9」の事故動画をシェアしたネットユーザーのSNSアカウントが削除された。
今回の西安地下鉄10号線の事故をめぐっても、「ファーウェイM9」の事故の時と同様、「人為的な操作ミスによる事故なのか、それともシステム故障による事故なのか分からないが、当局が事故関連話題の封殺に乗り出したことからみて、システム故障による事故である可能性が限りなく高まってきた」と推測する声が広がっている。
中国当局公認の「愛国ハイテク企業」のファーウェイと同様、BYDは(中)国産ブランドであるため、「愛国ブランド」として、中共当局によって手厚く保護されている。
そのため、ネガティブなニュースがあってもすぐに情報封鎖されてしまうのだ。
現実に、中国製EVの発火事故は非常に多く起きており、なかでもBYDは、ネット上では「中国大陸の自然発火王(大陆自燃王)」という不名誉なあだ名が付けられるほど、発火事故が最も多いメーカーともされている。
路上で炎上するケースも多いため、市民が撮影した現場の動画も多く流出するが、こうした事故は当局によって隠蔽され、国内ではほとんど報道されず、米国製のテスラばかりが槍玉に挙げられている。
しかも、それらの事故のうち、多くが原因究明されないため実態が不透明であるばかりか、改善措置が全くなされないまま同様の事故が続発することになる。
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