米、結核患者10年来の高水準 小児結核は前年比42%増

2024/03/29
更新: 2024/03/29

米国疾病予防管理センター(CDC)は28日、米国における結核感染者数が過去10年間で最も高い水準となったと発表した。相対的に増加が最も大きいのは小児だと述べた。

CDCが3月28日に発表した報告書によると、2023年に結核に感染した人は前年に比べて16%多い9615人となった。米国では結核の罹患率が27年間減少していたが、一転して2020年から増加傾向にあるという。

CDCの結核撲滅部門のディレクターであるフィリップ・ロービュー博士は、2023年の結核感染者数について、増加は予想していたものの「想像を超える数だ」と、AP通信に語った。

2023年の結核罹患率は、前年に比べてすべての年齢層で増加した。いっぽう、最も相対的増加が大きかったのは14歳の子供で、42%増加した。

外国生まれの結核患者が増加

2023年の米国における結核患者の76%(7259例)は外国生まれの人で、2022年と比較して18%増加した。

結核は、結核菌に感染することによってかかる病気で、世界で最も致命的な感染症のひとつだ。

結核に感染している人がくしゃみや咳をすることで空気感染し、世界中で毎日4400人近くが結核で亡くなっている。厚生労働省によれば、日本でも年間一万人以上の新しい患者が発生し、1600人以上が命を落としている。

米国は結核の罹患率が世界で最も低い国のひとつだが、CDCは報告書の中で、患者数の増加は「重要な疾病対策と予防戦略」を実行するための公衆衛生プログラムを強化する必要があると述べた。

最も患者数の多いカリフォルニア州

2022年と同様、2023年はカリフォルニア州の結核感染者数が最も多く、2113人に上った。感染率が最も高かったのはアラスカ州で、人口10万人あたり10.6人だった。

2023年に報告された結核患者の85%は、少なくとも1、2年前に感染しており、いわゆる潜在性結核であると推定される。これは、結核菌に感染しているものの、発病はしていない状態のことを指し、医療専門家は、1300万人もの米国人が潜在性結核にかかっていると推定する。

潜在性結核感染者は症状がなく、他人に感染させることはない。

CDCは、感染を防ぎ、死亡者数を減らすためには、結核を素早く発見し、速やかな治療開始が重要だと述べた。

結核の種類と症状

結核は、罹患部位により、肺結核と肺外結核の2つに大別される。肺結核は肺を侵す感染症だが、他の臓器に広がることもある。

肺外結核は、肺以外の臓器で発生し、肺に入ることはない。肺外結核は多くの場合、血流を通じて、あるいは他の臓器から直接感染が広がって発症する。肺を侵す結核とは異なり感染力はない。

潜在性結核は無症状であるが、活動性肺結核では一般的に悪寒、発熱、大量の寝汗、体重減少、全身倦怠感、食欲不振、脱力感、疲労感などの症状がみられる。

肺結核では、呼吸困難、胸の痛み、3週間以上続くしつこい咳、リンパ腺の腫れ、喉の痛みがしばしば見られる。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。