香港で「スパイ防止」国家安全条例が施行 日本や台湾などで抗議集会「恣意的に運用される懸念あり」

2024/03/25
更新: 2024/03/25

香港では3月23日、スパイ行為など国家の安全を脅かす行為を取り締まる「国家安全条例」が施行された。

この条例制定をめぐっては、犯罪に該当する行為の定義が広いため、当局が取り締まり対象を恣意的に決められるなどの指摘があり、市民の権利や企業活動などへの影響が懸念されている。

この国家安全条例に反対する集会が台湾、日本、米、英、カナダ、オーストラリアなど数十の都市で開催されている。

香港立法会(議会)は19日、2020年に中国によって導入された香港国家安全維持法(国安法)を補完する国家安全条例案を、全会一致により可決。同条例案の可決をうけ、国際社会、特に英国と米国からは強い批判が寄せられている。

施行開始日となる23日、台湾の台北市では香港人団体をはじめとする複数の組織、および約100人の台北市民が反対集会に参加した。また日本の東京都内(新宿)でも同日、抗議集会が行われた。

台湾

今回のイベントの主催者で、台湾に亡命中の香港人の赴湯氏は、「香港政府が十分な議論もせずに、わずか11日程度で23条をスピード可決にしたことに対して非難する。また米、英、カナダ、日本、オーストラリアの5国の20都市と連帯して(同条例に)抗議する」と話した。

香港でこのほど可決、施行開始となった国家安全条例に反対する集会、台湾の台北市、2024年3月23日(宋碧龍/大紀元)

台湾の半導体大手、聯華電子創業者の曹興誠氏は、「台湾と香港の運命はリンクしている。台湾が警戒を怠れば、今日の香港のようになってしまうだろう」と警鐘を鳴らした。

画像は、台湾の半導体大手、聯華電子創業者の曹興誠氏。(宋碧龍/大紀元)

台湾で民主活動を続ける香港人、香港邊城青年協會秘書長の馮詔天(Sky)氏は、次のように述べた。

「国家安全条例(第23条)の立法後、香港人はいかなる公の場やネット上で意見を述べることは、もはや不可能になった。今後は香港だけでなく、台湾や世界のどこにいても、誰もがこの第23条に違反したことで投獄される可能性がある。それでも海外にいる私たちは、中共の嘘や中共の言うことを信じてはならない。我われは妥協しない。最後まで抵抗しなければならない」

以前に、香港で区議会議員をしていた李文浩氏は「第23条の可決は、間違いなく香港の民主と自由に対する大きな打撃である。国際社会は香港政府や裁判官を制裁すべきだ」と呼びかけた。

イベント終了前、現場に集まった人々は、香港では「拡散禁止」となった抗議デモを象徴する歌曲「香港に栄光あれ願榮光歸香港/Glory to Hong Kong)」を高らかに合唱した。

また、現場に設置されたレノン・ウォールには、抗議活動への支持メッセージが書かれたメモ書きがいっぱいに貼られた。

香港でこのほど可決、施行開始となった国家安全条例に反対する集会、台湾の台北市、2024年3月23日(宋碧龍/大紀元)
香港でこのほど可決、施行開始となった国家安全条例に反対する集会、台湾の台北市、2024年3月23日(宋碧龍/大紀元)
香港でこのほど可決、施行開始となった国家安全条例に反対する集会、台湾の台北市、2024年3月23日(宋碧龍/大紀元)

日本

(「23条に反対!」。東京の新宿南口で行われた国家安全条例への反対集会、2024年3月23日)

米国

(香港でこのほど可決、施行開始となった国家安全条例に反対する集会。米ロサンゼルスの中国領事館前、2024年3月24日)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。