習近平のルール設定に反発する中国共産党官僚が消極的サボタージュで抵抗

2024/03/24
更新: 2024/03/25

中国共産党内で習近平の権力集中に対する官僚たちの消極的な抵抗が明らかに。中国共産党(中共)の機関紙「求是」誌の最新報告と専門家の分析を通じて、内部対立と政治環境の現状を探る。

「求是」に掲載された最近の記事で、中共党首である習近平が「厳格な党の統制」政策を推進しており、その目的は「ルールを定めること」であり、「過度な統制」ではないと明確に述べていた。

しかし、習近平が官僚たちの怠慢や消極的な行動に不満を抱いていることにも触れており、これは習政権と一部官僚間の深刻な対立の兆候、ひいては共産党の統治における内部の危機を示している。

官僚の「躺平」に隠された深い理由

今年3月16日の「求是」誌に掲載された記事では、習近平が「大きな党が国を統治する」という特有の困難を克服するための6つの課題を提起しており、「政治環境を清潔で健全に保つ方法」などが含まれ、「新たな状況に適応するために乗り越えなければならない課題」と位置付けている。

しかしながら、これらの課題は外部からは以前から指摘されている抽象的なものとして批判されている。

 内部官僚の反発

 米国で活動する政治評論家、王赫氏は、習近平が提案した「大きな党が国を統治する」という課題が、実際には共産党の統治正当性についての疑問を映し出していると語っている。

習近平は反腐敗を掲げて政敵を排除し、自身の権力を強化したが、これが原因で党内に広がる不満や「躺平(寝そべ)」と呼ばれる消極的な抵抗を促す官僚たちの反発を招いている。

王赫氏は、この内部からの不満と反発が習政権にとっての大きな脅威になっていると指摘している。

 習近平と官僚との対立

3月9日に行われた中国共産党の全国人民代表大会と中国人民政治協商会議(両会)で、異例の出来事が観察された。

この会議で、最高裁判所長の張軍と最高検察院長の應勇が報告中、李強首相が振り向いて習近平と会話を始め、他の高官も短時間の「非公式な会話」に加わった。

この不審なやり取りは、報告された国家安全に基づく240万人以上の逮捕や起訴したことの公表が習近平の不満を引き起こした結果と見られている。

中共官僚の「集団での躺平」

政治評論家、章天亮氏の分析によれば、習近平の権力集中化の手法と、相反する指示を要求する姿勢は、官僚たちに「集団での躺平」を促している。

習近平が複数の委員会を設置し、最終決定権を握る試みは、明確な指示が不在の時、失敗を恐れて行動を控える官僚を増加させている。この動きは官界に広がり、効率の低下と政策実行の困難を招いている。

習近平の孤立と中共の危機 

習近平の政策への抵抗と上層部の圧力は、彼が権力を集中しているにもかかわらず、党内での孤立を如実に示している。王赫氏は、官僚の「躺平」は、習近平の権力集中への隠れた抵抗であり、これが習近平及び中共政権が直面する深刻な危機であると指摘している。

中共の「両会」における重大な変化

中国共産党の全国人民代表大会期間中に、重要な二つの変化が生じた。一つは「国務院組織法」の改正により、国務院の「中国共産党指導の堅持」が強調されたこと、もう一つは、両会終了後の総理の記者会見が中止されたことだ。

これらの変更は、国務院の地位の低下と習近平の個人的な権力の拡大を外部からの視点で示しており、習近平の集権化への懸念を深めている。

趙彬
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