「国家安全条例」異例の速さで可決 最後の香港総督など 75人の要人が非難

2024/03/21
更新: 2024/03/21

2022年3月19日、香港政府と立法会(議会)は、国家安全条例を異例の速さで成立させた。

これに対し、各国の議員や公的人物75人が党派を超えて共同声明を発表した。

声明は、香港を支持する各国政府に対し、香港基本法、英中共同声明、そして国際人権法を公然と違反するこうした行為に反対するよう呼びかけ、また、中国と香港の当局者に対する追及を求めている。

香港の主権が中国に返還されてから27年が経過した今、香港立法会は午後7時ごろ「国家安全維持条例」を全会一致で可決した。この「国家安全条例」は、香港政府が国家安全に関する犯罪に対処するための法律として機能する。

基本法第23条では、「香港特別行政区が独自に立法を行い、反逆、国家分裂、暴動の扇動、中央人民政府の転覆、国家秘密の窃盗行為を禁止すること、また外国の政治団体が香港で政治活動を行うことや、香港の政治団体が外国の政治団体と連携することを禁じることが定められている。

2003年にも同法の立法化の試みがあったが、市民の大規模な抗議デモによって先送りされた。しかし、現在は再開され、国際社会からの強い非難を受けている。

共同声明に署名した人物には、元香港総督のクリス・パッテン氏、元英国外相マルコム・リフキンド氏、米上院議員マルコ・ルビオ氏、中国に関する米議会行政府委員会の議長であるクリス・スミス下院議員、元ポーランド外相で欧州議会議員のアンナ・フォティガ氏、カナダの元司法長官および検事総長のアーウィン・コトラー氏、カナダのトム・クミーク連邦議会議員、国際弁護士協会 人権研究所所長かつ弁護士のヘレナ・ケネディ女男爵などがいる。共同署名者は欧州議会議員の17人を含む、英国、米国、カナダ、ドイツ、フランス、韓国、マレーシアに及んでいる。

声明は、第23条立法が、2020年に施行された香港国家安全法の影響を超えて、香港の自治、法の支配、権利、基本的自由にさらなる壊滅的打撃をもたらすことに重大な懸念を表明した。 また、香港の官僚が曖昧で広範な条項に基づいて、平和的人権の行使を犯罪とみなす意図があると指摘した。 

共同署名者は国際社会の声に応じ、香港政府に対し、香港国家安全法を廃止し、国家安全法違反で起訴された人物の訴追を停止し、国際的な法的義務の遵守を確保し、国際人権保護のための法律や基準に準拠した立法を行うよう求めている。

さらに、国家安全を名目に香港市民の基本的権利を制限する際には、その措置が法に則り、合理的で、適切であることを確実にするよう訴えている。

声明には「我々はルールに基づく国際秩序を守り、香港と中共当局者による違反行為を追及しなければならない」と述べられている。

英統治時代最後の香港総督、クリス・パッテン氏は23条立法を「香港人の人権と法治の棺の上に、さらに大きな釘を打ち込む」と表現し、英中共同声明にさらに違反していると述べ、その行為を恥ずべきものと非難した。また、「なぜ習近平の極権政権の約束を信じなければならないのか。世界中の政府や議会は、国際的な投資家と同様に、このことから教訓を学ぶだろう」と述べた。

米国のルビオ上院議員は、中共が香港の自治と民主を破壊し続け、香港市民の基本的自由を侵害し続けていると指摘し、国際社会が共同してこれらの行動を非難し、公正な裁判を求めて、(関連者の)責任を追求すべきだと表明した。