中国共産党(中共)が開催中の全国人民代表大会で、李強首相が台湾問題に触れた際、「和平統一」という言葉が削除された。それに対し、台湾軍は、年内に「海空の精密誘導弾射撃訓練」の頻度を増加させると述べ、これは敵情の変化に対応するためであると説明した。また、米陸軍の特殊作戦部隊「グリーンベレー」が今年から台湾に常駐し、金門島および澎湖島にある水陸両用偵察基地で台湾の特殊戦部隊の訓練を支援することとなった。
3月5日に行われた初の工作報告で李強氏は、台湾について「一つの中国の原則」を堅持し、「台湾独立」という分裂と外部からの干渉に断固反対すると述べた。
昨年の政府工作報告と比較すると、今年は、2022年に提起された外来干渉に対する反対を再確認し、両岸関係の平和的発展を推進する論述を保持しつつも、「和平統一進程」という去年用いられた表現を使わず、「和平」を削除して、「祖国統一の大業を推進する」と改めて述べた。報告では、両岸が血脈で繋がり、中華文化を共に発揚するなどの柔和な表現も使われなかった。
一方、中共の公式予算報告によると、今年の軍事費は約1.67兆元で、国防支出は前年と同じ7.2%増加し、これは習近平が就任して以来の倍増である。
中共による台湾への嫌がらせや圧力はますます増加しており、軍用機をほぼ毎日台湾の防空識別圏に侵入させたり、台湾海峡の中間線を越えて偵察気球を送ったり、科学調査船や商船を使って台湾周辺の海域を妨害するなど、グレーゾーン戦術を用いている。
台湾の邱国正(きゅう こくせい)国防部長は5日、立法院でのインタビューで、中共からの脅威に対処するため、今年は「海空の精密誘導弾射撃訓練」の頻度を増加させると述べた。
邱国正氏は、軍の訓練と軍備増強が敵情に応じたものであり、「どのような敵情に対しても、我々はそれに応じて強化する必要がある。現在、敵情の変化に応じて、訓練を強化し、その結果、実弾射撃の頻度を増やすことになる」と説明した。
李強氏の報告で「和平統一」が言及されなかったことが台湾海峡情勢に影響を与えるかどうかについて、邱国正氏は「最終的に軍事で対峙することは望んでおらず、皆が平和を望んでいる」と回答し、台湾は中共との武器競争には参加しないと強調した。しかし、ある学者は、李氏の報告は中国の一貫した基調と立場を維持しており、過度に解釈する必要がないと考えている。
同日、米海軍は声明を発表し、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ジョン・フィン」が3月5日に台湾海峡を南から北へ通過したと発表した。この航行は台湾海峡の特定の航路を通じて行われ、その航路はいかなる沿岸国の領海にも属していない。
台湾メディアは最近、「グリーンベレー」の顧問が、米国の「国防授権法」に基づき、今年から台湾に常駐し、金門島および澎湖島の水陸両用偵察基地で台湾特殊戦部隊の訓練を支援すると報じた。
米国防総省の匿名を求めた報道官は、特定の作戦や交流についてはコメントしないものの、米国の台湾支援と防衛関係が、現在の中華人民共和国の脅威に対応して調整されており、米国の台湾へのコミットメントが揺るぎなく、台湾海峡およびその地域の平和と安定を維持するのに貢献していると強調した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。