最近、中国の政治情勢において注目すべき展開があった。1つは、中国共産党(中共)の重要な会議である第20期「第3中全会」が予定されていたにも関わらず、例外的に開催されなかったことである。
もう1つは、習近平が自らの部下たちに対して、より頻繁に忠誠を示すよう要求していることが明らかになったことだ。
第20回党大会では、習近平が表向き全権を掌握し、自派を前面に推し進めたようだが、彼の実際の政治的権力は強化されたのか、それとも弱化したのかについては議論を呼んでいる。
第3中全会が開かれない
具体的には、第3中全会が昨年末に開催される予定であったにもかかわらず、実際には開催されなかった。
これに関しては、習近平が自身の弱さを露呈したくないため、力をしっかり示せる状況が整うまで会議を開かないという見方が存在する。
例えば、習近平が選んだ元国務委員兼国防部長の李尚福の名前が、国防部のウェブサイトからひそかに削除されたことや、習のかつての側近であった元外相の秦剛が全国人民代表大会代表の資格を失ったことも、この状況を反映している。
これらの人物のことは、通常、中央全会で扱われるべき重要な事項であった。これらの動きは、習にとってこれらの人物を処理することが非常に困難であることを示している。
習近平の権力が強化されたかどうかについてだが、第20回大会後に権力は頂点に達したものの、習近平の権威や影響力は低下しているとの見方がでている。
表向きは習が権力を掌握しているように見えるが、実際には多くの人が彼に不満を持ち、彼を権力から引きずり下ろす機会をうかがっているというものだ。
このような状況は、中共内部に大きな分裂があることを示している。習近平が会議を開催しないという選択をすることは、彼が絶対的安全を確保できるまで待つということを意味している。
結局のところ、習近平の権力の現状は複雑であり、彼が直面している内部および外部からの挑戦は、彼の政治的未来に影響を与える可能性がある。
監督ルールの変更
最近、中共が更新した監督ルールでは、習近平の中心的な役割と党の権威を守ることが、これまで以上に重要視されている。
これまでとは違い、習近平の位置を強化することが特に強調されており、政治的監視が上から下へと徹底されるべきだとされている。
一部の評論家は、これは習近平が自分の地位に不安を感じ、内部の争いを防ぐために措置を講じている証拠だと指摘する。
「党の権威が問われたり、権力が失われることを恐れ、権力を固守し続ける必要がある」との意見もある。監視は、官僚が自由に意見を述べることを防ぐためにも使われている。
また、習近平の権威を守るための「二つの維持」という方針が、実際には彼の地位を保つことに重点を置いており、これが、現在の状況が深刻であることの証拠だとされている。
毛沢東主義者の挑戦は、習近平の弱さの表れ?
中国国内で毛沢東を支持するグループが運営するウェブサイト「毛沢東博覧」が一時閉鎖された後、国内外からの支援を受けて復活した。これは、習政権が圧力の前に妥協した証拠だと専門家は指摘している。
習近平は、かつての党首毛沢東の方針に戻ろうとしていると言われているが、同時に改革開放を進めた鄧小平の名声を利用する必要があるとされている。
豪州の学者は、急速に影響力を増している毛沢東主義者が習近平の政治的安定を脅かしていると述べている。彼らは鄧小平の政策を批判し、習近平に大きな圧力をかけている。
また、毛沢東主義者による鄧小平批判の記事がウェブサイトに掲載され、削除されなかったことから、政府の態度が微妙に変わっていることが伺える。習近平の権力が弱まっているのか、それとも別の意味があるのか、議論を呼んでいる。
一方で、中共内では毛沢東主義者の影響力は限定的であり、主に一般市民や知識人の間で支持されているとの見方もある。
中共の特権階級は毛沢東主義者を好まず、鄧小平の政策に従って、自らを先に豊かにすることを望んでいる。時には、習近平を批判するために毛沢東主義者を利用することもあるようだ。
習近平は多くの面で毛沢東の影を借りているが、実際には自らの権力を保持するために利用していると見られている。習近平は現在、様々な圧力に直面しており、中でも毛沢東主義者からの圧力が顕著である。民間企業に対する保護の姿勢は、毛沢東主義者との対立を示している。
習近平が高官からの集団的報告を要求
最近、中共の高官たちが習近平に対して「書面での報告」を提出した。これは、習近平が憲法を修正し、終身権力を確立して以来、政治局のメンバーからの報告を要求する規則の一環であり、党内での意見の不一致や内部抗争の存在が見て取れる。
現在の政治経済状況の中で、習近平は党内の安定を最優先に考え、高官たちに個人的に報告させることで、自らの権威を強化しようとしているが、これは同時に彼のリーダーシップに対する前例のない挑戦をあらわしているのだ。
またこの事は、将来の計画についてはまだ明確ではなく、習近平が党内で完全な支持を得られていない事も示している。
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