どこにあっても不思議ではない「水の出ない消火栓」 住宅火災で役に立たず=中国 江西

2024/02/17
更新: 2024/02/17

旧正月初日(2月10日)の夜、江西省撫州市南城県にある集合住宅で火災が発生した。

住民が火を消そうとして、建物に設置されていた消火栓を開いたところ、なんと水が全く出ない。建物の消火設備であれば、消防当局の「安全検査」に合格していたはずだが、実はただのお飾りだったのだ。

「役立たず」が判明するのは、出火してから

こうした「水の出ない消火栓」の弊害は、ただ役に立たないばかりではない。

つまり火災という非常時に、それを最も必要とする人々の期待を、あまりにも無残に裏切り、そこで火災の被害を一気に拡大させてしまうのだ。こうした「加害者」のような消火栓が、どこにでもある。それが今の中国の、恐るべき現状である。

火災現場には、多くの消防車が出動したことが動画からも伺われる。さいわい死者が出るような大惨事には至らなかったが、実に危ういところであった。

(集合住宅に設置された消火栓は、水が全く出ない「お飾り」だった。それが判明したのは、まさに火災が起きてからである)

こうした中国の現状について、関連投稿に寄せられたコメントのなかには「なにしろ偽造大国だ。消火栓がお飾りなのは、よくあることだ」「いまさら驚くことでもないよ」といった、半ば諦めのような嘆きが広がっている。

他省でも同様のケースあり

先月30日夜、貴州省貴陽市にある集合住宅でも、地上から打ち上げた火花が部屋に引火し、火災になる事故が起きていた。

火災の起きた部屋の男性は、すぐさま集合住宅に設置された消火用の放水設備を使って火を消そうとした。ところが、接続するホースの金具の口径が合わず、火を消すための放水設備が全く使えなかった。

その後、消防隊が到着してようやく鎮火された時には、出火した部屋のなかにいた男性の母親は亡くなっていた。母親はバスルームに逃げ込んでおり、炎による火傷がひどかったわけではないが、煙と酸欠で生きながら命を絶たれたという。母親の部屋は全焼していた。

母親を亡くした男性は、火災が起きた現場で、後日に撮影した動画を投稿した。

男性はカメラに向かい、建物に設置された消火栓に対して放水ホースの口径が合わないことなど、消火設備が全く役に立たなかった複数の原因を明示した。

その上で男性は「なぜ消火設備が使えないのに、消防検査が合格になったのか」と述べて、集合住宅の管理者や当局による安全検査の杜撰さを、涙ながらに糾弾した。

(「消火設備が使えないのに、なぜ消防検査に合格したのか」と非難する、火災被害者の遺族の男性)

街にある「偽物の消火栓」

中国は今、ニセモノだらけである。

笑い話ではなく、この偽装は一体どこまで続くのかと思わずにはいられない。その現状は、枯れ木に緑ペンキを吹きつけた「緑化」のレベルをはるかに超えて「まさか、これも?」の域まで達している。

撮影場所は不明だが、以前、華人圏のSNSに「車を運転していた女性が、うっかり道端にある消火栓に車をぶつけてしまったが、それが偽物だった」とする動画が拡散され、物議を醸したことがある。

この場合も、車がぶつかったから「水道管がつながっていない偽物」だと判明したのだ。

近くにあった別の消火栓も、同じく「飾り物」だった。つまり、いざ火事になった時、消防隊がこの「消火栓」にホースをつないでも水は出ないのである。

中国の街にある「消火栓」に車がぶつかる事故が起きた。ところが、この消火栓は、見せかけだけの偽物だったことが判明した。(SNS投稿動画よりスクリーンショット)

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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