【続報】大規模殺人事件 当局は情報封鎖に躍起、中国メディアの報道も削除される=中国 山東

2024/02/16
更新: 2024/02/17

旧正月の初日(2024年2月10日)山東省日照市莒県の洛河鎮にある「宅科村」で、銃を使ったとみられる大規模な殺人事件が起きた。

11日以降、同事件に関する情報がSNSに流れているが、現地当局による発表はなく、また中共官製メディアによる報道もない。香港メディアや一部の中国メディアによる断片的な報道はあったが、いずれの報道も当局の情報封鎖に遭ったとみられ、すぐに削除されている。

中国の主要なネットプラットフォームでも事件関連の投稿は検閲され、封殺に遭っている。事件が発生した地名である「莒県」のワードも、禁止用語となった。

エポックタイムズの取材に応じた現地市民によると、現地警察から「事件関連の情報を発信しないよう求められている」と明かしている。

死者数については、14人から18人、あるいは21人など複数の説が流れていた。最新の説では「死傷者40人以上」となっている。病院に搬送された人も多いため、死者数は今後増える可能性があるとされている。

容疑者に関しては、引退した(または解雇された)武装警察官による単独犯という説のほか、17年間の服役を経て出所した複数の男たち(4~6人)によるという説も有力とされている。

動機については、社会報復もふくむ、何らかの怨恨による「復讐」とされている。そのほか、仮に凶器が「銃」であるとすれば、それをどのように入手したのか、犯人は使用法に習熟していたのかなど、不明な点はまだ多い。

事件の後、現地では電波が遮断された。都市全体に戒厳令が敷かれ、SWATが包囲する事態となった。中国人が日常の連絡に使用するSNSのウィーチャット(微信)をはじめ、中国版TikTok「抖音」や中国版ツイッターのウェイボー(微博)など市民が情報発信できる手段は一切使えず、軍事管制されている状態だという。

事件の翌日(2月11日)香港のフェニックステレビ(鳳凰衛視)の公式サイトでは、大勢の市民が死亡した同事件について報道していたが、報道はその後削除された。

翌12日も、フェニックステレビは再度事件について報道するが、関連する報道は前日同様、まもなくして削除された。さらに、フェニックステレビの関連報道を転載した他社メディアの報道までも削除されている。

削除されたフェニックステレビの関連報道によると、容疑者1人が当局に逮捕されているという。

事件を2日連続で伝えた香港のフェニックステレビの関連報道が削除された。(削除された報道のスクリーンショット画像)

中共当局が厳重な情報封鎖を行っているため、犯行の動機などの事件の真相、および実際の死傷者数は現地点ではわからない。

同事件をめぐっては、情報が錯綜しており、今もネット上では複数の説が飛び交っている。

旧正月の初日(2024年2月10日)山東省日照市莒県の洛河鎮にある「宅科村」で、銃を使ったとみられる大規模な殺人事件が起きた。(SNSより)

事件の翌日(2月11日)、過激な事件につながりかねない「隠れた危険性」の調査を求める現地政府の緊急通達が、ネットに流出した。

それによると、日照市当局(政法委)は11日、管轄下の全て村に対し、16種の人員に対して徹底調査を行い、状況報告を毎日するよう求めている。

16種の人員のうち、主要なカテゴリーは「投資に失敗した者。精神状態が不安定な者。暴力傾向のある者。不動産、医療、労働、婚姻、隣人関係トラブルなど、何らかの問題を抱えている者。陳情者。失業者。人生に幻滅している者。人間関係がうまくいっていない者。社会報復をする恐れがある者。暴力紛争を起こしそうな者」である。

当局が挙げたこの「16種類」のなかで、共通する点は「人生に幻滅し、前途に希望がなく、社会報復を起こしかねない」ということである。

報道は当局に封鎖されているものの、凄惨な事件があったという噂は広がっている。

こうした中国の殺伐とした世相を目の当たりにした民衆からは「経済不況の中で、恐ろしい殺人事件が社会の常になるのではないか」「中国社会が極度の不安状態に陥りはじめたのではないか」と懸念する声が広がっている。

莒県で起きた大規模殺人事件について、中国問題専門家で、エポックタイムズのコラムニストでもある王赫氏は、次のように分析する。

「この事件に関しては多くの説が流れているが、盛んに伝えられている説では、動機は復讐となっている。それによると、濡れ衣を着せられて投獄された人が出所後に社会報復をしたという。これは、非常に残酷な中国社会のリアルを反映している。中国では、正常な社会の運営がなされていないため、恨みを晴らすには(司法ではなく)自らの手で復讐する以外に方法がない。この事件も含めて、社会報復といった事件や災禍の元凶は(そうした社会をつくった)中国共産党なのだ」

時事評論家の唐靖遠氏も「中国社会の低層人民は、普遍的に、政府の司法ルートを信用していない。だから彼らは往々にして、自らの手で復讐をすることを選んでしまう」として、王赫氏と同様の見解を示している。

 

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。