いま中国では、経済低迷のあおりを受けて失業や賃金カット、あるいは給料自体もらえていない人も多い。そのため「とても新年を祝う気分にはなれない」と嘆く人も少なくない。
今年は2月10日が旧暦元旦であった。中国人にとって大切な旧正月を迎えたものの、富裕層ならともかく、中国の庶民は「節約、節約」の毎日。とにかく低消費の鎧(よろい)で身を固めて、なんとか日々を生き延びようとしている。
そのため、本来は基本的な食料品である野菜や穀物などの農産物ですら売れ行きが鈍り、農民は大きな損失を被っているという。
広州市に住む劉さんは、その実情を次のように明かす。
「昨年9月以降、地元の工場は賃金カットを開始した。特に、ここ数か月は賃金が激減している。従業員を解雇すると会社側は補償金を支払わなければならない。そのため、毎月の給料を大幅に減らしたり、わざと望まないポストに移したりしている。そうやって従業員に、自主退職するよう仕向ける企業も多い」
また、黒龍江省に住む馬さんは、こう語った。
「現地では雇用機会が少なく、町も立ち遅れていて、賃金も低い。一般的な月給は2千元から3千元余り(約4~6万円)で、物価も上がっている。ただでさえ、生活していくのも大変な時なのに、数か月も給料が支払われないことがよくある」
海南省三亜市で教育業に携わる胡さんは、このように話す。
「(海南島の)三亜市は観光都市であり、通常は、冬がピークシーズンだ。しかし今は、どの業界も低迷しているため、観光客は激減している。物価も高いし、景気も悪い。お金の余裕がないため、楽器などの子供の習い事を止めている親も少なくない」
河南省に住む李さんは、次のように語った。
「過去3年に及んだゼロコロナ政策により、地元企業は大打撃を受けた。大勢の人が失業し、生活は節約を強いられている。農産物も売れない。そのため価格が大幅に下落し、農家は大きな損失を被っている。出稼ぎしようにも(都市部で)仕事がない。今は基本的に、皆お金がないんだ。だから、とにかく節約することで消費を控え、預金を頼って生活する人も多い」
旧正月(春節)の長期休暇に、日本などの海外へ旅行にゆく中国人は、言わば一部の富裕層である。中国の大多数の庶民は、厳しい日々を懸命に生きている。
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