いま中国で大人気のSNSワードは「密入国」 中共当局がトレンドリストから削除

2024/02/12
更新: 2024/02/12

中国経済の低迷などにより、いま中国国民には不満や怒りが爆発寸前のマグマのようにたまっている、といっても過言ではない。

さらに今では株式市場の大暴落も加わったことで、自暴自棄のあまり、中国のネット上には「いっそのこと、核を落としてくれ!」といった悲痛な叫びが溢れている。

実際、中国各地では「株式投資の失敗などによって(絶望のあまり)飛び降り自殺した」とするニュースが相次いでいる。

そんな背景もあって、この頃、中国においては「密入国」というワードが大人気になっている。つまり、全く希望の見えない中国から脱出することを(共産党員をふくむ)多くの中国人が、人知れず密かに、しかし確実に、必死で模索しているのだ。

とくに経済力をもたない低層の庶民が海外へ逃亡する上で、それを実行するか否かはともかく、密入国という非合法的手段に関心が高まっている。

中国の富裕層は「地下銀行」を通じて、自分の財産を中国から海外へ大急ぎで移動させている。中間層は、なんとか海外へ合法的に移民するため奔走中だ。

では、お金のない庶民は、どうするか。「走線」とよばれる密入国によって、中南米のジャングルを徒歩で突破し、まさに命懸けで米国領内へ入ろうとするのである。ともかく皆が、なんとかして沈没寸前の中国から逃げようとしているのだ。

2月5日、中国SNSウィーチャット(微信)では、キーワード「密入国(中国語:走線)」の検索回数が、なんと23242%まで急増。回数にして、430万回近く検索されたことが分かった。

しかし、こうした数値が出た後、この人気ワードである「密入国」は、過去にユーザーが調べたキーワードの動向をリストで表示するウィーチャットのトレンドリスト「微信指数(ミニプログラム)」から削除された。

過去にユーザーが調べたキーワードの動向をリストで表示するウィーチャットのトレンドリスト「微信指数(ミニプログラム)」に表示される「密入国(中国語:走線)」の検索データ。(中国のネットより)

つまり、このワードを検索できないよう、中国当局が隠したのである。

中国において、SNSは全て当局の管理下にある。そのため、いわゆるトレンドや人気度は、中共当局がいくらでも恣意的にコントロールできるのだ。

検索ワードの「移民」や「密入国」が人気を博すのは、今に始まったことではない。

2020年よりゼロコロナ政策が実施された後にも、そうであった。2022年末の「白紙革命」以降にも、たびたび「移民」のワードは、ウィーチャットでの検索回数が短期間で1億回を超えている。

米メディアが公式データを引用して報じたところによると、昨年(2023年)米国の南西部国境で逮捕された「密入国の中国人」は、2年前の50倍にあたる3.7万人に急増している。

このうち、多くの中国人は中国版 tiktok「抖音」のなかから、米国へ密入国するためのルートやアドバイスなどの情報を得ているという。

多くの中国人は、ビザを必要としない南米エクアドルまで飛んだあと、ジャングルをかき分けながら徒歩で陸路を進み、米国へ密入国しようとする。 

まさに命懸けの逃避行である。

中南米の密林を踏破し、米国への密入国を目指す中国人。(読者より提供)
中南米の密林を踏破し、米国への密入国を目指す中国人。(読者より提供)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。