このほど、現地役人の「プロパガンダ動画づくり」に協力を求められ、うんざりした農民が、役人が置いていった「見舞い品」を自ら捨てる動画が華人圏で拡散され、物議を醸している。
動画を転載した時事評論家の李沐陽氏によると、この「事件」は今月2日に起きた。
ここが中国のどの地方であるかは、はっきりしない。怒った農民の言葉は、まったく標準語ではないので聞き取りが難しいが、その意味するところは表情や行動から読み取れる。
当局の役人が、共産党の顔を立てる「プロパガンダ動画」を撮影するために、現地の貧しい農家に行き、食料などの「見舞い品」を贈った。しかし、これらの品々をもらったら役人の動画撮影に協力しなければならず、また「党の厚い恩情に感謝する言葉」を述べなければならないなど、多くの要求がついてくる。
要するに、心にもない「やらせショー」を演じることが求められるのだ。
実際に、この農民がそうした演技をしたかどうかは、分からない。おそらく当局は、今日のところは先に土産物を置いていって農民を手なずけておき、後日またカメラの前で「演技」するよう求めたのであろう。
そうした「やらせショー」の求めにうんざりした農民のほうは、ついに怒りを爆発させて、いったんは受け取った品々を自らの手で次々と家の外に投げ捨てた。
それはまさしく「たとえ貧しい農民でも、こんなモノ、受け取れるか!」という魂の叫びのような行動であった。
中国共産党機関紙「人民日報」や国営新華社通信、あるいは中国中央テレビ(CCTV)など、中共傘下の官製メディアには、どれも必ず「(党のおかげで)幸せそうに、喜ぶ農民」が描かれている。
(地方の言葉で「こんなモノ、要らん!」といって、投げ捨てる農民の男性)
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