昨年10月から続く武装組織ハマスとイスラエル国防軍の激しい戦闘の中で、ハマスが北朝鮮製の武器を使用していることが明らかになった。最近では、ハマスが中国製の武器も使用していると指摘され、中朝が地域の不安定化を招いているとの実態が浮き彫りになった。
イスラエル国防軍の敵方装備押収部隊の副司令官、イダン・シャロン・ケトラー中佐は、ハマスから押収した武器の中に数千の北朝鮮製武器を発見したと、12月28日付の米公営放送ボイス・オブ・アメリカで明らかにした。
ケトラー中佐によると、押収されたこれらの武器は、ハマスが北朝鮮F-7ロケットエンジンを取り出し、再度組み立てて対戦車ロケット推進榴弾に改造したものだという。これらは重装甲を貫通し、より大きな損害を与える能力を持っている。
韓国側も、ハマスが北朝鮮の武器を使用しているとの情報を確認している。1月2日、情報機関である韓国国家情報院は、ハマスによる北朝鮮製武器の写真を公開した。写真は不鮮明だが、武器の一部にハングル語らしき表記が写っている。
武装組織と協力する北朝鮮
昨年10月、同情報院は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が部下に対してパレスチナを支援する計画を立てるよう命じたと明らかにしたが、ハマスへの協力について具体的な証拠を示したのは今回が初めて。
北朝鮮はハマスがイスラエルに対してテロ攻撃を行った後、ハマスへの支持を表明していたが、ハマスに武器を供給しているという主張を「米国によって仕組まれた根拠のない偽りの噂」と一蹴している。
北朝鮮製と見られるF-7ロケット推進式手榴弾は、イスラエル南部の軍事基地で発見された。これらの手榴弾は戦車などの装甲車両に対抗するための肩撃ち式の武器で、単発の弾頭を発射し、迅速に再装填が可能である。
このほか、ハマスのプロパガンダビデオや写真には、北朝鮮製のブルセ誘導対戦車ミサイルを装備した戦闘員の姿も報じられている。
北朝鮮は1966年以来、パレスチナ指導者との外交関係を維持している。2012年には、米国がハマス向けにロケットやロケット推進式手榴弾を積んだ北朝鮮の貨物機を発見したとされる。
北朝鮮はロシアとも密接な関係を持つ。1月4日、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官は記者会見で、ロシアがウクライナに打ち込んだミサイルは北朝鮮製であると指摘した。
暗号資産を武器に変える
北朝鮮はまた、小型で軽量な武器の製造にも力を入れており、世界のさまざまな紛争地域にこれらの武器を供給しているとされる。低コストで供給される北朝鮮の武器は、非国家主体や紛争地域の武装勢力にとって魅力的な選択肢だ。さまざまな種類の火器、弾薬、そして携帯式の対戦車ロケットや対空ミサイルが供給されているとされる。
厳しい制裁下にある北朝鮮が、なぜこれほどの武器製造が可能なのか。資金源には、ハッキンググループによる仮想通貨の窃盗が大きな役割を果たしているとされる。
調査会社TRMラボによれば、2023年に盗まれた暗号資産の3分の1を北朝鮮の脅威グループが占めたという。米政府もまた、北朝鮮のハッカーがハッキングを行うことで、資金繰りに苦しむ政府に資金を提供していると推測している。
米国務省のパテル副報道官は「北朝鮮のハッカーは、北朝鮮の大量破壊兵器と弾道ミサイル計画に直接資金を提供している」と指摘。国家安全保障会議のサイバーセキュリティ担当ニューバーガー氏も「北朝鮮が進めるミサイル計画に必要な費用の約半分が、サイバー攻撃と暗号通貨の窃盗によって賄われている可能性がある」と推測を示した。
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