2023年の中国の人口データについて、中国当局はいまだに公表していない。
非公表である理由は明らかでないが、人口学者たちが、すでに公開されているデータに基づいて予測したところによると、2023年の中国の死亡者数は出生者数を大きく上回り、人口が激減しているという。ロイター通信が9日、人口統計学者の見解として伝えた。
人口激減の主な原因は、景気低迷などによる出生率の低下や伝染病による死亡者の激増だという。伝えられた見解の概要は、以下の通り。
「2023年の中国経済の全面的な低迷、若者の失業率の高騰、公務員や会社員の賃金減少、不動産部門の危機などが、同国の出生率に深刻な影響をもたらした。また2022年末に北京当局は、全国的に何の準備もできていない状態で、これまで3年間堅持してきたゼロコロナ政策を突然中止し、14億人を一気に新型コロナウイルスの流行の中にさらした。感染症の感染爆発により、非正常な死亡者数は激増した」
中共が、これまでに世界保健機関(WHO)に報告した疫病関連の死亡者数は約12万人(121,889人)である。しかし、WHOをはじめ国際的な研究機関は、いずれもこの数字について「実態を大幅に過小評価している」と考えている。
実際、時折りネットに流出する中国の民間からの写真や動画などから推測しても、中国全土が「疫病の津波」に遭っていた時期、各地の病院が大混雑し、死体安置所は満杯状態となり、火葬場の外まで火葬を待つ霊柩車の長い列ができていたことが知られている。
浙江省当局が昨年7月に公表したデータによると「2023年1月~3月の間に、同省で火葬された遺体数は70%増加している」という。だが、後にこのデータは当局によって削除された。
中共中央や軍に近い北京の情報筋によると、中共党首・習近平は「疫病流行の実態を報じないよう、国内メディアに箝口令を敷いた」という。そのため、各地の病院では「新型コロナ」で患者が死亡しても、死亡診断書に「本当の病名を書くな」と医師に命じている。
米研究機関「フレッドハッチンソンがん研究センター」が行った研究では、2022年12月から2023年1月にかけての約2か月間に、あらゆる原因で死亡した30歳以上の中国人の数は「正常時における予測より187万人多い」と推定している。
多くの中国市民も、外国メディアの取材に対して、自分の身の回りで多くの親戚や友人が感染したり、死亡していると明かしている。
「新型コロナによる感染症の流行は、今も続いている」。そのことを中国メディアは報じていないが、中国人の誰もが肌で感じていることだ。人口の激減を招くほどの死亡者の増加は、そうした実情と密接に関係していると考えられる。
(1月8日撮影、遼寧省瀋陽市にある「中国医科大学付属第一病院」の様子。院内は、非常に混雑している)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。