中国共産党統治下の中国において、人々が生存する環境は日に日に悪化しており、絶望のあまり自殺する事件が各地で頻発している。
このごろ、福建省では父親が、四川省では母親が、それぞれ幼い我が子1人残して、橋から飛び降り自殺を図る事件が続けて起きた。
さいわい、2人とも救助隊によって救助された。このような「良い結末」の事件であれば、中国メディアによって報道される。しかし「悪い結末」の事例は、たとえ中国全土に無数にあっても、報道されることはほとんどない。
子供が目をそらした瞬間「母は飛び込んだ」
12月14日にSNSに流れた動画のなかには、橋の欄干の上に立つ若い女性がいた。その足元には、手を伸ばし、泣きながら「マーマ(媽媽)」と叫ぶ幼い子の姿も見える。橋の欄干は、子供の身長よりも高い。母親は、その欄干に立ちながら、川へ飛び込むことを逡巡している。
そばにいた男性が、この女性に対し説得を続けていた。
「あなたの子供は、まだ小さいでしょう。そんな衝動的なことは、してはいけないよ」
しかし女性は、泣きながら「この子と一緒に行きたい」と答えていた。
結局、この若い母親は子供を道連れにはしなかった。彼女は、自分が川に飛び込む姿を子供に見せたくなかったようだ。子供がくるりと体をよそへ向けた瞬間、川の中へ飛び込んだ。幸い、彼女は後に救助隊に助けられたという。
中国メディアによると、この事件は四川省成都市で起きた。この時、橋に残された子供は、まだ1歳半だった。
「疲れた。もう生きていけない」
その3日前の11日にも、福建省南平市で父親が幼い子を置いたまま、自殺を図る事件が起きた。
この父親も、はじめは5歳の娘を道連れにしようとしていたようだが、最後の瞬間になって、子供を脇へ置き、自分だけ橋から川へ飛び込んだ。こちらの父親も幸い救助されている。
中国メディアによると、この男性は飛び降りる前、救急隊員に対して「疲れたんだ。もう生きていくことができない」と言い残していったという。
(連動画をシェアした時事評論家の李沐陽氏は、自身のSNSに「胸が張り裂けそうだ。これはどれだけ絶望したらできることか」と書いた)
関連動画がSNSに拡散され、このシーンを目にしたネットユーザーからは「胸が張り裂けそうだ」「中国共産党が統治する中国では、こうした悲劇が絶えない。中国人は本当に大変だ。もう絶対に、中国になんか生まれ変わるものか」といった怒りの声が相次いだ。
なかには、「この2人は、助かったからこうやって中国メディアが明るいニュース(正能量)として報じた。しかし、自殺して本当に死んでしまったら、情報封鎖されて誰も知ることはないはずだ」といった声もある。
近年、経済が悪化の一途をたどる中国では「親が、我が子を道連れにして自殺する事件」が多発している。
先月11日正午、江蘇省無錫市の橋から母親が2人の子供を川に投げ込んだ後、自身も飛び込む事件が起きた。2人の子供のうち、男児は死亡。女児と母親は病院に搬送された。
先月7日にも、同じく江蘇省の揚州市の集合住宅で、若い女性が建物の12階から転落して死亡する事件が起きた。地元住民によると、この女性は布団で娘を包んで窒息死させた後、12階から飛び降りたという。
「毒の根源」の崩壊まで、生き延びて
福建省の父親が子供を置いて川に飛び込み、自殺(未遂)を図った件について、時事評論家の李沐陽氏は次のように語った。
「全く胸が張り裂けそうな光景だ。皆、この父親の身に何が起こったのかを知りたがっているが、彼は言ったではないか。生きるのに疲れた、と」
「彼は、川に飛び込む前、胸に抱いていた我が子をそっと下におろした。その素振りからしても、この父親は愛がある人だとわかる。大切な我が子がいて、心に愛がある男に死を選ばせるほどの困難とは何なのか。死を選ぶには、どれほど大きな勇気と決断が必要なことか」
「しかし、彼にとっては、死ぬことよりも生きることの方が難しい。そして生活を続ける能力もないから、死を決断してしまったのだろう」
「実際、この父親は、今の中国の庶民の現状を映し出している。現在、中国の経済状況は全体的に非常に悪く、大量の工場が潰れた。職を失った出稼ぎ労働者たちは、故郷に帰って農業をしようにも、土地は地元役人によって売られている。働く先も、土地もない人たちは、どうやって今日や明日を生きていくのか。希望はない」
「幸いにも、動画の父親は救助された。彼にはまだ、自分の現在の状況をもたらした原因が何であるかを考えるチャンスがある。なぜ中国は、今日のようになってしまったのか。実際、中国の社会問題は全て、中国共産党が根本的原因だ」
「中共の体制は、毒の根源なのだ。この邪悪な体制を取り除かなければ、中国人民は決して良い暮らしは手に入らず、苦しみは終わらないだろう。あの父親には(子供とともに)中共が崩壊する日まで、粘り強く生きてほしいと願っている」
「悪の根源」である中共から完全に離脱し、その中共が崩壊する近未来まで、何が何でも生き延びること。それが最も大切であると、李沐陽氏は述べた。
自殺に追い込まれる悲劇は、まるで見えない声で呼び合うように続けて起きる。それは、今の中国全体が、生存の限界に達しているからである。しかし、そうであるからこそ、中共の鎖を断って、とにかく生き延びることが肝要である。
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