白紙革命に参加した中国人 海外亡命中に銀行カードを凍結される

2023/11/12
更新: 2023/11/12

白紙運動に身を投じた元技術専門家、黄国安氏は数か月後に警察に逮捕された。その後、亡命したものの、携帯電話に中国派出所からの召喚状が届き、資産を凍結された。

1か月外出制限で食料が不足 

2022年10月、黄国安氏の健康コードは赤になった。ゼロコロナ政策が続いた当時、健康コードが赤の場合、公共の場所には出入りできず、病院に入院するか自宅隔離されるしかない。黄国安氏の住居はコミュニティによって直接電子ロックをかけられ、内側からは開けられず、防疫スタッフがPCR検査を行いに来るまで待つしかなかった。黄氏は丸一か月間外出できなかった。

家に閉じ込められた時、黄氏の家にあった食べ物は「3日か5日の量の肉と野菜」と「半袋の米」だけだった。米の量も1か月持たなかったため、毎日、粥を炊くしかなかった。最後には何日も空腹だった。幸いにもその電子ロックが解除されて、やっと外に出られた。

昨年11月末から12月にかけて、中国全土の大学がロックダウンに抗議し始めたとき、黄氏も白紙革命に積極的に参加した。ロックダウン時に飢餓に苦しんだ経験が直接の原因だった。

白紙革命参加者ら 拷問を受け

彼は中国のネット検閲を回避して、エポックタイムズとGanjing Worldのウェブサイトから、「共産党についての9つの論評」など、様々な動画や資料を使って、白紙革命への参加を呼びかけた。

昨年12月、白紙革命はもはや学生の抗議活動ではなくなって、広州の一般市民も「打倒共産党」と叫んでいた。

2022年12月、中国政府は厳しい行動制限を行うゼロコロナ政策を終了したが、今年1月から白紙革命に参加した人々は次々拘束されている。

「私のように、街頭に立って白い紙を掲げるわけでもなく、ただ抗議活動の宣伝をしていた者でさえ、警察に突き止められた。黙っていれば、今度は自分が殺される番が回ってくるのだと悟ったんだ」

毎日恐怖の中で生活していたため、黄国安氏は2023年2月から海外移住を計画し始めた。

今年5月上旬にニュージーランドへのビザを申請したが、5月20日、警察は突然、黄氏の家を訪れ、服と電子製品をすべて持って一緒に行くように言い、彼を広州天河の拘置所に連行し、そこで取り調べを行った。

驚いたことに、黄氏は自分のSNS投稿、WeChatのチャット記録、アカウントさえもすべて削除したが、警察のコンピューターには投稿記録が表示されていた。 警察はまた、テレグラムやその他の海外アプリにログインし、情報を削除してアカウントを削除するよう命じた。

黄国安氏は狭い部屋に一人で拘束されていた。 警察は彼の両手を拘置所の窓に手錠で固定し、半座りか半立ちの姿勢でしかいられず、トイレにも1日1回しか行けないという拷問を行った。

「一昼夜手錠をかけられたこともあった。 夜眠ろうとすると、目の前に白熱灯を吊るされ、目に当てられた。 また、刺激性の化学物質でできたスプレーを鼻に吹きかけられ、鼻、口、喉、肺に激痛が走り、鼻水や唾液が流れ出て、まるで溺れているかのようで、死ぬよりもつらかった」と黄氏は振り返った。

数日後、黄氏は拘置所の公共スペースに移された。 

「大部屋には30人以上がいて、食堂の一角は200〜300人で埋まっていた。 これは当時の広州で抗議に参加した人の数を示した。拘置所は人で溢れていた」

拘束から15日後、黄氏は釈放された。勾留理由は「法輪功の集会・デモに参加」とされたが、黄氏は、都市封鎖への抗議活動に参加した際「共産党についての九つの論評」を流布したため逮捕されたので、警察は宣伝資料に基づいて彼の「罪名」を決めただけだと説明した。

海外亡命後 貯金を凍結

その直後、黄国安氏は解雇された。同氏は7月25日にニュージーランド行きの飛行機に乗り、中国から逃れた。

7月31日、中国の大家は監視ビデオを送ってきて、警察が彼を探しに来たと告げ、連絡を絶った。

8月初め、黄氏のアリペイとWeChatでの支払いができなくなった。中国建設銀行の職員から電話があり、黄氏は通信詐欺、越境詐欺の疑いがあり、銀行カード(38万元、約760万円)を凍結され、凍結を解除するには直接銀行に来てくださいと言われた。

「罠のように感じた。海外に出るのは初めてだし、海外の銀行のカードも持っていない。振り込め詐欺をやっているというなら、私が騙してきたお金はどこにあるんだ?それで中国の警察が脅し始めたんだ」 

8月14日、黄氏の中国SIMカードに、天河区警察署から警察に出頭するよう要請するMMSが届いた。

出頭要請

出頭要請は「反動的なコメント」を削除し「直ちに中国に帰国して自首するように」と求め、「黄氏が犯した事件はすでに家族を巻き込んでいる」と書いてある。

2023年11月6日、黄国安氏はオークランドのダウンタウンにある中国工商銀行を訪れ、中国共産党による違法な資産凍結に抗議した。(インタビュー対象者提供)

黄氏は餓死しても中国には帰らないと決めた。 オークランド市街地にある中国工商銀行の前で何日も物乞いを続け、中国共産党(中共)による財産没収に抗議している。

「欧米では、私有財産の不可侵は法律の核心だ。中国ではすべての土地と個人の財産は中共のものであり、中共はいつでも没収できる」と語った。

昨年10月13日、北京の「四通橋」に習近平政権を批判する横断幕が掲げられた。黄氏は「四通橋の勇士」と呼ばれている彭載舟氏を支援するイベントに参加した。国際社会に中国の人権問題に注意を払うよう呼びかけるとともに、世界中の中国人に対し、中共による中国人に対する人権侵害に対して立ち上がって抵抗するよう呼び掛けた。

黄国安氏はこのように述べている。

「『共産党についての九つの論評』は、中共は邪党だと言っている。まさにその通りだ。 共産党は審理も公開の裁判もなしに人を殺すことができる。 人民は本来享受すべき生存権、財産権、言論の自由、信仰権を奪われている」

李圓明