中国人軍機、南シナ海上空で米軍機から3メートル以内に異常接近

2023/11/06
更新: 2023/11/06

米国当局の発表によると、2023年10月24日、中国人民解放軍(PLA)の戦闘機が南シナ海上空で米国空軍のB-52爆撃機の3メートル以内を飛行する異常接近を行ったことで、衝突の危機が発生した。 東シナ海や南シナ海の国際空域で中国共産党の軍隊が危険な作戦行動を取った事例はこれが初めてではない。

米インド太平洋軍が声明を通して発表したところでは、夜間に発生したこの妨害行為では、中国人民解放軍の双発戦闘機が「制御不能と表現できる過剰な速度で米国空軍の爆撃機の下方から接近して追い越しながら上昇し、B-52の約3メートル(10フィート)以内を飛行したことで、両機が衝突の危険性に曝された」という。

2023年10月24日、中国のJ-11機パイロットが、南シナ海上空で国際空域を合法的に飛行していた米国空軍のB-52機に対して危険なインターセプトを行った。 夜間のインターセプトで、中国側のパイロットは危険かつプロフェッショナルさを欠いた方法で飛行し、制御不能な超過速度で接近し、B-52の下方、前方、10フィート以内を飛行し、両機を衝突の危険にさらすなど、エアマンシップの未熟さを示した。

米インド太平洋軍は、「中国側のパイロットは自機の行為により危うく衝突事故が発生するところであったという状況を認識すらしていないのではないか」と懸念を示している。

米国側は声明を通して、B-52は「合法的に日常的な飛行任務に従事していた」と述べ、米国爆撃機の行為が挑発であったと主張する中国政府の発表に異議を唱えている。

南シナ海の大部分の領有権を主張する中国政府の訴えについては、常設仲裁裁判所が違法判決を下しただけでなく、この重要な貿易航路を利用する米国やその同盟・提携諸国がそれを拒否しているに関わらず、中国は自国の主張をますます強める傾向にある。 海運に関与する世界各地の船舶の3分の1が南シナ海を通過すると推定されている。

2023年10月には、フィリピンがセカンド・トーマス礁で意図的に座礁させた軍艦への物資補給を行う同国沿岸警備隊の船舶と別の船舶に対して、中国海警局の船舶とこれに同行していた船舶が体当たり攻撃を行うという事態が発生している。 2016年の南シナ海仲裁裁判では、低潮高地のセカンド・トーマス礁の資源に対する主権的権利はフィリピン政府にあるとする判決が下されたにも関わらず、 判決の無視を決め込んだ中国政府は、中国海警局や海上民兵を派遣して、当該水域で活動する漁船や軍隊船舶に対する威嚇を続けている。

今回の船舶衝突という事態を受け、米国は1951年に締結された米比相互防衛条約に基づきフィリピンを防御するという誓約を再確認した。これはフィリピンの軍隊、航空機、船舶が万が一武力攻撃を受けた場合は、相互防衛義務が発動されるという条約である。

航行の自由を保護することを目的として、米国とその同盟・提携諸国は南シナ海などの国際空域・海域で日常的に作戦を展開している。

米国当局によると、2021年以降の中国人民解放軍による妨害事例は180件を上回る。 米国国防総省(DOD)は2023年10月、強制的かつ危険な行為を伴う事例15件を記録した写真と動画を公開した。

米インド太平洋軍は、「米国は国際法に従い、安全かつ責任を持って飛行、航行、運航を続ける」と強調している。

Indo-Pacific Defence Forum