頻発する集団略奪 その元凶は中国共産党という「悪のお手本」=中国 河南

2023/11/06
更新: 2023/11/06

この悪夢は、一体どこまで続くのか。近頃、中国の河南省で、民衆による集団略奪事件が頻発している。

ただし、表面化していない事例も含めれば、これは決して河南省に限定することはできず、中国全土で同様のことは起こり得るし、おそらくすでに起こっているだろう。

さらに、決して想像したくない未来であるが、今後こうしたことが全国の農村で続発するばかりか、都市部の商店でも略奪の嵐が巻き起こるかもしれない。その時には、おそらく高い確率で、警察の人間も略奪者になるだろう。

最近の例でいうと、9月末には、河南省南陽市で開催された野外音楽フェスティバルで、付近の住民による大規模な窃盗事件が起きた。「そこにあるから盗ったんだよ」と、いささかも悪びれず、その犯人である中年女性は言った。窃盗をはたらいたのは、ほとんどが付近の村の農民である。

10月14日には、同じ河南省周口市のトウモロコシ畑で、つづく10月31日にも周口市で漢方薬の薬材畑で集団略奪が起きた。この場合の略奪とは、畑主が見ている前で、犯行を制止する叫び声も聞かずに、集団で奪い去る盗賊行為のことである。

窃盗や略奪の犯人は、いずれも付近の村の住民たちとされている。本来は純朴なはずの農民が、まるで道に落ちている薪を拾うように、他人の畑の作物を平気で盗んでいくのだ。

漢方薬の薬材畑で起きた集団強奪から3日も経たないうちに、今度は同じ河南省の別の畑でも集団略奪が起きた。今月3日、河南省南陽市の穀物畑が、近くの村に住む大勢の村民によって集団略奪に遭った。

今回盗まれたのは、食用や酒造用につかう穀物の高粱(コウリャン)である。収穫期を狙って略奪にやって来る盗賊団といえば、黒澤映画『七人の侍』の野武士ぐらいしか思い浮かばない。ところが映画やドラマではなく、ノンフィクションの実話として、今の中国には本当にあるのだ。

ネットに流出した略奪現場の動画には、畑主と思われる女性が、他人の畑を荒らして穀物を略奪していく村民たちに向かって「あんたたちは、恥知らずだ!」と罵るシーンがあった。

ところが、この当然の非難に対して、どういう理屈かは不明だが、略奪集団のうちの1人(女性)が「恥知らずなのは、お前だよ!」とやり返している。

人の畑から作物を盗んだあげく、平然と持ち主を罵るとは、いったいこの人間たちの道徳観念はどこまで欠落しているのか。まさに目を疑う光景であり、ドロボウが口にする言葉とは思えないが、実際そうなっているのだ。もはや、こそこそした窃盗ではなく、実に「堂々とした」略奪ぶりである。

関連トピックスは翌日、中国人気SNSのホットリサーチ入りした。「なぜ頻繁に、こんなことが起きるのか」「中国は一体どうなってしまったのか」という嘆きとともに、いま物議を醸している。

「河南省の人間は、いつも人のものを強奪するのか」

「今では、とにかく村ぐるみで悪いことをしている。窃盗や強奪を専門とする村もある。女性や子供を誘拐して人身売買しているところもある。なかには、村ぐるみで麻薬を栽培して、売っているところもある」

寄せられるコメントには「いくら、法不責衆(ほうふせきしゅう)といっても、間違っていることは間違っているんだ。皆がやっているからと言って、それが正しいことにはならない」といった常識的な見解が目立つのが、せめてもの救いである。

なお「法不責衆」という中国語は「ある行為が違法であっても、それを行う人間があまりにも多い場合は、法律では処罰しにくい」ことを指す。この点、中国人がとくに陥りやすい「社会道徳の落とし穴」であろう。

こうした中国の現状について、中国政法大学の国際法修士、賴建平氏(米国在住)は、エポックタイムズの取材に対して、次のように分析した。

「これらの窃盗事件は、河南省南陽市だけの問題ではない。これは中国社会全体の問題だ」

「 問題の根源は、中国共産党のもつ(共産主義の)理念、およびそれが影響を及ぼす社会全体の雰囲気にある。なにしろ共産党自身が、毎日のように民衆を搾取し、その財産を強奪しているのだ。そのような『悪のお手本』が身近にあるため、底辺にいる庶民たちが同じことをするようになっただけだ」

「民衆は、法不責衆。つまり、悪いことでも皆でやれば怖くないという心理を持っている。そのうえ、現地警察も手が出せず、見て見ぬふりをする。なかには犯罪をおかす村民をかばったり、励まして助長している地方の村さえある」

「悪のお手本」が中国共産党であることは、以前から論をまたない。その支配下の民衆が、いよいよ大爆発を起こす段階が近づいている。歴史上、各王朝の滅亡期にみられた現象といってもよい。

農民が盗賊団となって畑の作物を襲い出したら、もうこの国に農業は成立しない。それは、国の根幹が崩壊したにも等しい一大事なのだ。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。