中国で新条例「臓器狩り」合法化…日本の法整備急務 移植技術の指導で関与

2023/10/30
更新: 2024/05/19

中国の李強首相は、最近、臓器提供と移植に関する条例の改正案を採択した。中国問題専門家は、無実の囚人から強制的に臓器を摘出するいわゆる「臓器狩り」を“合法化”する狙いがあると指摘している。中国へ移植手術のために渡航する日本人もおり、違法性をはらむ海外臓器移植に対する関連法整備が急務となっている。

移植法改正案の採択は20日に行われた。新華社通信23日付によると、臓器移植の「法治の保護を強化し、全プロセスの追跡と監視メカニズムの確立」を目指すという。関連会議では、臓器提供の体制を整え、法令違反の犯罪行為を取り締まることで「臓器提供と移植の健全な発展を保証する」との考えが示された。

一方、中国では臓器提供数や死刑執行数よりも多くの移植手術が行われている。これらの「ドナー」は、収容所に囚われた法輪功学習者や少数民族で、本人の意思を無視した臓器摘出が行われていると、国際人権団体は長年指摘している。

今回の法律制定は、国際圧力に応じた変更だと見られている。シドニー科学技術大学の中国問題専門家・馮崇義教授は、「国際社会で強制的な臓器摘出の実態が明らかになり、中国共産党への国際世論の影響は大きい。(法改正は)イメージの払拭だ」と述べた。

中国臓器移植の大きな問題は、想定の移植件数と臓器提供数に大きなギャップがあることだ。独立機関の調査では移植病院の棟数や稼働率から年間6万~10万件との予想を提示する。しかし、これらをまかなう提供臓器の数は、死刑執行数やドナー登録者数を足しても決して届かない。

法改正だけでは、人権侵害の懸念という国際的な問題に対処できないとの指摘もある。中国時事コメンテーターの呉特氏は、信仰組織や少数民族、異見者への弾圧が続いており、臓器収奪の問題解決には至っていないと大紀元に語っている。

21年6月、国連の複数の人権専門家は、中国で拘束された法輪功学習者および少数民族らが移植用臓器の摘出対象になっている可能性を示す「信頼できる情報」があり、「強制的な臓器検査と移植用データベースへの登録」が行われていると指摘。説明を求めたが、中国側はこれを拒んでいる。

中国政法大学の国際法修士号を持つ頼建平氏もまた、「権力を中心とした臓器移植活動が進行中で、違法な犯罪を“合法化”し、臓器のための殺人を増加させている」と大紀元に述べた。

監視カメラが至る所に設置されているにもかかわらず、中国では若者を中心に行方不明者が後を絶たない。臓器収奪の対象が法輪功学習者から一般市民に拡大しているとの噂が保護者間で広がっている。

日本も無関係ではない

監視社会の中国で、相次ぎ中高生が行方不明 「臓器収奪かもしれない」憶測呼ぶ

日本も中国渡航移植に無関係ではない。厚生労働省は7月に渡航移植の実態調査を行い、その結果、175人が中国で移植を受け、現在国内で通院していることが判明した。

さらに、日本の“著名な移植医”の指導を受けたと公言する中国の移植医も存在する。彼らが勤務する中国の移植病院は、提供臓器の待機時間がわずか数日と、他国と比較にならないほど短いと、人権団体は指摘している。

中国臓器強制摘出問題に長らく取り組むデービッド・マタス弁護士は、「中国の移植病院や一般病院の移植科では、複数の移植医が日本で訓練を受けていた」と指摘。日本は、中国との移植技術訓練の提供や移植機関への資金支援などを停止すべきだと提言している。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。