Jonathan Landay Simon Lewis
[ワシントン 20日 ロイター] – 米政府は20日、ロシア政府がスパイやソーシャルメディア、国営メディアを活用し、世界中の民主的選挙の正当性に対する国民の信頼を損なわせているとする情報機関の分析報告書を公表した。既に100カ国超に通知した。
報告書はロシアの活動が「世界的な現象であり、われわれの情報によれば、ロシア大統領府や政府高官はこの種のインフルエンス・オペレーションに価値を見出し、効果的であると認識している」と指摘している。
米国務省高官が匿名を条件に記者団に説明したところによると、ロシアは20年の米大統領選挙と新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)に関する偽情報の浸透に成功したため、選挙でのインフルエンス・オペレーション強化に積極的になっている。同高官は「成功が成功を生んでおり、米国の選挙が一つの触媒だと確信している」と語った。
報告書は、18日の外交公電でアメリカ大陸や欧州、アジア、アフリカの100カ国超の米大使館に送付し、その後各国政府に配布したという。
また、同高官は既に内々に相手国政府にブリーフィングを行い「来年の大統領選よりも早く」情報を共有したと明らかにした。
報告書は「米政府はこの脅威に対する自国の脆弱性を認識している」と指摘。米情報機関は「ロシア工作員が20年の米選挙に対する国民の信頼を損なう情報の拡散と増幅を行った」ことを突き止めたという。
さらにロシアが、複数スパイ組織が管理するインフルエンス・オペレーション網や代理人など「公然・非公然のメカニズムの両方を利用している」ことも挙げた。例えば、ロシア連邦保安庁(FSB)は密かに選挙係員の脅迫や投票当日の抗議行動を組織したほか、20年に欧州で行われたある選挙で「海外投票を妨害した」という。
また、報告書によると、ロシアの国営メディアは20―21年の間、アジアや欧州、中東、南米で行われた選挙に先立ち、世論調査が非民主的であると公然と主張し「虚偽の不正情報を増幅させた」ほか、ソーシャルメディアのプラットフォームや「プロキシサイト」を使って選挙の正当性についての疑念を植え付けたという。
報告書は各国に対し、制裁や情報共有、ロシア人スパイの国外追放、渡航禁止措置を通じて選挙妨害を軽減する対応を提言した。
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