10月20日、海南省にある小学校の校門前で、同校に通う生徒の保護者が横断幕を掲げて学校に抗議をした。横断幕には「澄邁思源学校の王という教師が、私の9歲の娘を強奸(強姦)した」と書かれている。
つまり9歳の少女を、なんとその小学校の教師がレイプしたというのだ。同じ横断幕の下辺には「他の被害者を探しています。勇気をもって名乗り出てください」の文字もある。
性犯罪を隠蔽する「学校と教育局」
SNSに投稿された動画のなかには、横断幕を掲げていた女性の一人が周囲の民衆に向かって説明するシーンがあった。レイプ被害を受けた女子生徒の母親と名乗るこの女性は、集まった人々に対して次のように訴えていた。
「あの野獣教師は、私の娘をレイプした。その後で娘に、親に言うな、さもなければ家族全員を殺すぞと脅した。娘は最初、何も言えなかったが、ついには我慢できなくなって私たちに明かした。今、娘はうつ症状になっていて、終日家に引きこもっている」
「この件を警察に通報した後、立件はされたが、学校と教育局は加害教師をかばい、対処をしてくれない。説明を求めるため学校へ掛け合っても、校長は警備員を指示して、私を校内へ入れない。教育局へ行っても同様に、全く対処してくれなかった」
動画のなかには、現場に駆け付けた公安2人が横断幕を奪い、周囲の人に「カメラを回すな」と恫喝して撮影を阻止する様子も映っていた。
「デマのわけがないだろう!」
事件が起きた澄邁思源学校(澄邁思源実験学校)は公立の寄宿学校だ。同校では先月、高校2年の生徒が建物から飛び降りる事件が起きたばかりだった。これに関連するトピックスは、中国のネットを騒がせた。
この時「学校側は、監視カメラの映像を削除した。その上で(生徒の)飛び降り自殺を、足を踏み外した過失による墜落事故と無理やり決めつけ、遺族には15万元(約300万円)での示談を迫った」とする噂が広がっていた。 その噂の真偽は定かでないが、責任逃れのため、もともと隠蔽体質のつよい学校であったことが伺われる。
また、ネット情報によると、今回、9歳の女子生徒をレイプした加害教師は同校の「副校長」であるともいう。
この事件関連のトピックスは、中国SNSでホットリサーチ入りしており、加害教師とそれを隠蔽する学校に対して、コメント欄にはネットユーザーらによる怒りの声が殺到した。
「デマのわけがない。こんなことを言い出す親がいるはずがないからだ」「こんな事件は、CCTVの報道番組で報じられることはないだろう」「これほどの大事件が起きたのに、中国の大手メディアは全てだんまりじゃないか」
近年、中国では、生徒や学生が学校内で様々な犯罪の被害者になる事件が後を絶たない。
しかし、学校や教育局および地元警察が結託して事件を隠蔽し、さらに被害生徒とその家族の口を封じるために圧力をかけたり、ネット情報の封鎖を行うなどで、自殺をふくむ死亡事故や凶悪事件がうやむやのうちに葬り去られることも少なくないのが現状だ。
(10月20日、「9歳の娘を教師がレイプした」と訴えて、海南省にある学校の校門前で横断幕を広げる被害者の家族)
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