中国の不動産危機が深刻化するにつれ、中国は外国企業にとってますます魅力を失いつつある。 中国経済の数十年にわたる成長の中心的存在であった外国企業やビジネスマンは、国際的なビジネスチャンスが回復すると期待されていたにもかかわらず、中国の制限的な政策が生み出した冷え切った環境に直面している。
中国での20年以上の経験を持つ企業アドバイザーで、「ドラゴン・スーツ 中国駐在エグゼクティブの黄金時代(Dragon Suit: The Golden Age of Expatriate Executives In China)」の著者でもあるガボール・ホルヒ氏は、「中国の勝者と敗者の間の格差はますます拡大している」とFORUMに語り、 「数字、つまり企業の数で言うと、スパイラルダウンしている大半は国際企業だ」と述べた。
ロイター通信によると、23年8月の中国の不動産投資は前年同月比19.1%減と18か月連続で減少し、住宅販売は26か月連続で減少している。 不動産は中国の国内総生産(GDP)の約25%を占め、製造業、サービス業、消費財業界と直結しているため、この落ち込みは深刻な懸念材料だ。 また、海外直接投資(FDI)の落ち込みはさらに激しく、2022年4-6月四半期以降50%以上減少していると、日経アジア誌が報じた。 海外直接投資は過去10年間で、中国のGDPの4分の1を占めていると推定される。
中国に進出したばかりの外資系企業によるグリーンフィールド投資は「事実上停止している」とホルヒ氏は言う。 そうした投資では、企業が他国で事業を立ち上げることになる。
在上海米国商工会議所の最近の調査によると、中国に進出している米国企業のうち、2022年に黒字だったのはわずか68%で、2023年に黒字を予想しているのはわずか52%だった。 パンデミック後、外資系企業を取り巻く環境は改善されるだろうと期待されていたにもかかわらず、である。
ロイター通信によると、中国が施行した新法は対中直接投資をさらに冷え込ませている。 外資系企業は、中国の国益を損なう「行為」を警告する外交法や、国家安全保障に関連する不特定情報の共有を禁止する反スパイ法により、コンプライアンス・リスクに直面している。
ロイター通信によると、欧州連合の貿易担当委員ヴァルディス・ドムブロウスキス氏は、2023年9月に上海で開催された外灘金融サミットで、「データに関連する法的不確実性の問題は、ここ中国にいる欧州企業の間に現実的な不安を引き起こしている」と述べたという。
ロシアがウクライナに理不尽で一方的な侵攻を行ったにもかかわらず、中国がロシアとの関係を深める決定を下したことで、中国市場に進出している欧州企業の懐疑的な見方が強まり、地政学的な緊張が投資家の懸念に重くのしかかる中、多くの企業が他国に投資を移している。
国際企業の中国離れは、他のインド太平洋市場に利益をもたらすかもしれない、とホルヒ氏は言う。
同氏はさらに、「彼ら(中国)のシステムは、世界の他の国々とはますます相容れなくなっていくだろう」とし、 「中国が提供するようなインフラ(鉄道、道路、電気などの固定インフラと人的インフラの両方)を提供できる国はまだない。 それでも、企業は生産拠点をバングラデシュや、もう少し製造コストの高い韓国や東南アジア諸国に移そうとしている」と述べた。
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