【菁英論壇】中国不動産業界の崩壊(1) 碧桂園のリスクは恒大を上回る

2023/10/19
更新: 2023/10/26

中国の不動産業界の頂点に立つ恒大集団(以下、恒大)の会長、許家印氏が逮捕されるという事態となり、恒大は崩壊の危機という状況に立たされている。その矢先、業界第二位の碧桂園もデフォルトの事態を迎えた。

最近、碧桂園は公告を発表し、近く到来する4.7億元(約95.9億円)の債務返済の不可能、そして中期及び短期の他の債務における返済困難のリスクが存在することを明らかにした。

この情報は、中国の不動産業界に新たな不安をもたらしている。恒大の無計画な拡大策とは対照的に、碧桂園は堅実な経営が評価され、業界の模範生として認識されていた。

もし碧桂園さえも困難な状況に陥るのであれば、中国の不動産業界の将来は保障されるのだろうか。

3~4線都市を主要ターゲットとする碧桂園

米国在住の中国の実業家、孟軍氏が新唐人の『菁英論壇』という番組で碧桂園の債務違約が4.7億元(約100億円)であるとの報道があるが、実情はそれを上回ると指摘した。これは既に期限が到来している債務で、数か月前からデフォルトの兆しが見られていた。

先の事例において、碧桂園は他方からの資金調達により返済を果たしたものの、今回が2度目のデフォルトとなっている。コロナウイルスの大流行から3年を経て、碧桂園の月間売上は支出を追い越せない状況になっている。

現在、月間売上は約60億元(約1224億円)に留まり、前年度と比較すると、売上は80%以上の大幅な減少を見せている。このような売上の大幅な減少を受けて、どの企業が運営を持続できるであろうか。

現在、碧桂園が手掛けているが、まだ完成していないプロジェクトは3千を超え、これは恒大の4倍に相当する。売上が伸び悩み、住宅の売上も鈍化し、一方で借入金の利息や給与、運営コストなどの月間固定費は変動しない状況が続いている。

このような背景の下、2021年から現在にかけて、碧桂園は維持が困難となっている。先行する恒大の例と同様に、融創をはじめとする他の不動産企業も同じような困難な状況に直面している。

2023年上半期の統計によれば、中国の不動産企業およそ100社、そして大規模建設企業のうち50社が破産した。その深刻さは、容易に想像ができる。この事態が引き起こすネガティブな影響は予見可能である。

孟軍氏の分析によれば、碧桂園は主に都市階級が3〜4線の都市を対象に事業を展開しており、取得する土地の80%がこれらの地方都市に位置している。これらの都市は、主要な省都から離れた位置にあり、土地の取得コストが低いことが特徴である。

しかし、碧桂園が建設する物件は高級マンションであり、その価格は非常に高い。一方で、これらの都市の住民の収入は比較的低い。

たとえば、100平米の住宅が70〜80万元(1428万円~1632万円)であるとして、3~4線の都市の住民の月収が3〜4千元(6万円~8万円)、家族3人であれば月収が6〜7千元(12~16万円)である場合、彼らがこれらのマンションを購入することは難しい。

碧桂園が得意とする3〜4線の都市の住民は文化や知識に恵まれていないことが多く、高収入を得るのは難しい。大都市に多くいるような高収入層や投資家が少ないため、碧桂園の影響範囲は恒大よりも広がっている。そして、これにより社会的不安定を引き起こすリスクが高まっており、既に各地での権利擁護活動が始まっている。

不動産市場全体に問題が生じた場合、最初に影響を受けるのは3〜4線の都市である。次により都市化が進んでいる2線の都市が影響を受け、最後に北京、上海、広州、深センなど1線の都市が影響を受ける。

したがって、これらの都市の不動産価格が下落し始めると、その下の3〜4線の都市は既に大混乱となっていることが予想される。これは非常に深刻な状況である。

現在の問題は、すべての不動産価格が下落していることである。中でも大きな問題の一つは、政府が不動産の実態を報道することを禁止していることだ。

中国の不動産価格は歪曲され、取引を許可せず、価格の値下げも許可せず、販売さえも許可していない。

事実として、不動産に関わるすべての人や、銀行や債券を保有している人たちは、本当の情報を受け取っておらず、不動産に問題がないと考えている。しかし、真の問題が発生したとき、例えば、不動産価格が100から40に下落すると、お金を引き出すのは既に手遅れである。

大紀元の主筆、石山氏はこれまで、中国共産党はこのような不動産経済を通じて地方政府の運営を支えてきたと指摘する。多くの地方政府の財政収入の50%、60%、あるいは70〜80%もの大量の資金が土地の売却から得られている。

これらの資金は、政府の活動を拡大し、政府の支配を強化するために使用されている。具体的には、政権安定化要員の採用、警察隊の増加、都市管理の強化などだ。このような資金が尽きると、地方政府の崩壊のリスクが増大する。

(続く)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。