仏でiphone12が販売禁止 米のスマホ放射線検査は「不正」= 専門家

2023/10/08
更新: 2023/10/08

フランスが最近、放射線の懸念からアイフォン12の販売を禁止したことで、携帯電話の放射線被曝による健康リスクについて不安が広がっている。

米国が行うテストでは、携帯電話が発した電磁放射線が人体の組織を加熱するかどうかに焦点を絞っているが、専門家の中には、電磁放射線がもたらす影響の全体像を示していないと主張する者もいる。

がん流行病学者で、科学研究の博士号と公衆衛生の修士号を持つデブラ・デイビス氏は、次のように語った。

「これらのテストは、組織を加熱するかどうかを確認するために行われるが、長期にわたる慢性的な影響に焦点を当てておらず、特に精子やテストステロンの低下などの影響については示されていない」

携帯電話の放射線検査は「不正」である: 専門家

デイビス氏によれば、アイフォンの電磁波が身体に与える影響を調べる米国のテストの最大の問題点は、携帯電話を身体に当てて行っていないことだと指摘する。

彼女はこれを、フォルクスワーゲンによるディーゼルエンジンの排ガス規制逃れに端を発したスキャンダル「ディーゼルゲート」になぞらえた。

「同じことがここでも起こっている」と彼女は付け加え、まるで携帯電話がホルスターやホルダーに収められているかのように、テストは当初、身体と間隔を空けて行っていたと指摘した。

フランス政府が、実際にスマホを使用している状況で(手に持つ、身体の横に置く等)テストを行うと、スマホは欧州連合(EU)の放射線規制値を超えるとデイビス氏は言う。

テレグラフが報じたところによると、フランスは2017年以来、過剰な放射線を出す他の42機種のスマホの回収やソフトウェアのアップデートを要求している。

しかし、デイビス氏によれば、米国にはこのような監督が欠けているという。

ハーバード大学のエドモンド・J・サフラ倫理センターが発表した報告書によれば、電気通信業界は連邦通信委員会(FCC)に対して大きな影響力を持っている。

ある電気通信ロビー団体の幹部は、彼らが年間500回もFCC職員に会っていることを自負している、と報告書は記した。

「私たちは製品が承認された後にそれらをテストするプログラムは持っていない。また、FCCと電気通信業界との間に人材が流動的に行き来する仕組みがあるため、承認プロセスは自主規制されている」

デイビス氏は2010年に出版した著書『ディスコネクト: 携帯電話の放射線の真実、それを隠すために業界がしてきたこと、そしてあなたの家族を守る方法(Disconnect:The Truth About Cell Phone Radiation, What the Industry Has Done to Hide It, and How to Protect Your Family』と題する書籍で、携帯電話がもたらす危険性を警告している。

エポックタイムズは、米国疾病予防管理センター(CDC)と米国食品医薬品局(FDA)にコメントを求めたが、本記事掲載までに返答は得られなかった。

1日17分の携帯電話使用でがんリスクが増加

2009年に「臨床腫瘍学ジャーナル (Journal of Clinical Oncology)」に掲載された23の症例対照研究のレビューによると、携帯電話の多用は脳腫瘍発生率の増加と「関連する可能性がある」という。

しかし、こうした高周波放射線が健康に与える影響に関する研究への資金提供を米国政府は1990年代に停止している。

著者でカリフォルニア大学バークレー校公衆衛生学部家族・地域保健センター長のジョエル・モスコウィッツ氏は「現在のレビューから得られた主な結果は、10年間で1日あたり約17分スマホを使用すると、脳腫瘍が統計的に60%増加する」ということだと述べた。

2009年のレビューは2020年に更新され、同様の結果を示した46の研究が含まれている。

電波塔付近でがん発症リスクが上昇

電磁界の生物学的影響に関する国際委員会(The International Commission on the Biological Effects of Electromagnetic Fields)は2022年、1990年代に設定された電磁場放射線の曝露制限では、特に健康調査に欠ける5G技術においては、一般市民を十分に保護できないと警告した。

しかし前出のデイビス氏によれば、現在議会で審議中のいくつかの法案には、電気通信業界に対して「自由な行動範囲」を提供する内容が盛り込まれているという。

2022年に発表された科学的研究のレビューによれば、携帯電話基地局に近接して生活している人々のがんや高周波症の発生率が増加していることが判明した。またブラジルの最近の研究では、人口が基地局の周波数にさらされるにつれて、がんの死亡率が上昇することがわかった。

「5Gは医療や軍事、有線(イーサネット)に属するものであって、家庭には必要ないと考える」とデイビス氏は言う。「最も重大な問題は、5Gが機能するためには、100万本の新しいアンテナが必要だということだ」

がん、感染症、神経変性疾患などのトピックを取り上げ、健康と医学の分野をレポート。また、男性の骨粗鬆症のリスクに関する記事で、2020年に米国整形外科医学会が主催するMedia Orthopedic Reporting Excellenceアワードで受賞。