風邪のときに正しい食べ物を選べば、症状の緩和や免疫力の向上、回復の促進につながります。逆に、食べ方を間違えると、症状が悪化したり、治りが遅くなったりすることもあります。台湾の「可苡栄養相談センター」の栄養士・蔡宜方氏は、新唐人テレビの『健康1+1』番組で、風邪の際に意識したい栄養のポイントを紹介しています。
風邪のときに食べるべき6つの食材
蔡氏は、体の回復を助けるために、以下の6つの食材を積極的に取り入れるよう勧めています。
1. エシャロット
エシャロットには、アリシンやアリインなどの硫黄化合物、ケルセチンやケンフェロールなどのフラボノイドが豊富に含まれており、これらは抗菌、抗炎症、抗酸化作用を持ち、免疫機能を高めるとともに、風邪の症状を和らげるのに役立ちます。
- 玉ねぎ
玉ねぎには、ケルセチンや有機硫黄化合物が豊富に含まれており、免疫の調整、感染や炎症の軽減、鎮痛などに優れた効果があります。
- にんにく
にんにくは、玉ねぎや長ねぎと同じく、フラボノイドや有機硫黄化合物を多く含んでいます。また、ミネラルやビタミンC、アリシンやアリイン酸などの植物化学成分が豊富で、抗酸化、抗炎症、抗菌、免疫力向上の効果があります。さらに、にんにくに含まれる多糖類は腸内の善玉菌の増殖を促し、免疫システムを強化します。
研究によると、ニンニクはサイトカイン分泌、免疫グロブリン産生、貪食、マクロファージ活性化などのメカニズムを調節することで免疫システムの機能を高めることができることがわかっています。
生のにんにくの方が有効成分は多いものの、風邪で胃腸が弱っているときは刺激が強すぎることがあります。蔡氏は、短時間だけ加熱調理して刺激を抑えつつ、有効成分をできるだけ保つ方法を推奨しています。
- しょうが
しょうがには、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンなどの化学成分が含まれ、抗炎症、抗菌、抗ウイルス作用があり、風邪の予防や症状の緩和に役立ちます。研究では、新鮮なしょうがが呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)の抑制に効果があることが示されています。
- 大根
大根にはフラボノイドや有機硫黄化合物などの植物化学物質が豊富に含まれ、酸化ストレスの予防や免疫機能の維持に役立ちます。また、大根は肺炎桿菌や緑膿菌などの細菌が形成するバイオフィルムの生成を抑える効果もあります。
- 生ガキ
生ガキには亜鉛やセレンなどのミネラル、そしてオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。これらの栄養素は腸内の悪玉菌の増殖を抑え、腸内フローラのバランスを保ちます。研究では、牡蠣の摂取が腸内細菌叢の調整やアルギニンの合成経路の促進を通じて、免疫力を高めることが示されています。
風邪の治りを早める! 5種類の簡単スープ
蔡宜方氏は、風邪のときに回復を早めるためのスープを5種類紹介しています。
- 白ねぎ入り鶏スープ:
白い部分の方が緑の部分よりも硫黄化合物が多く、より強い抗菌・抗炎作用があります。鶏肉と組み合わせることで良質なタンパク質を補給でき、免疫力を高めます。温かいスープを飲むことで血行が促進され、発汗によって体を温める効果もあります。
- にんにくとスペアリブのスープ:
にんにく、スペアリブ、ナツメ、クコの実を一緒に煮込むことで、ビタミンAを補い、呼吸器の粘膜を守ります。ナツメはビタミンA、多糖類、多酚類(ポリフェノール)などの生理活性物質が豊富で、抗ウイルス、抗炎症効果も期待できます。
- 大根とスペアリブのスープ:
大根は咳を鎮め、痰を取り除く作用があります。とうもろこしを加えることで、甘みと風味が増し、飲みやすいスープになります。
- 玉ねぎと海苔と卵のスープ:紫玉ねぎに含まれるケルセチンは、ウイルス感染の初期段階を抑える効果があり、感染による炎症の発生を軽減します。
風邪のときの栄養補給に役立つ3つの飲み物
風邪のとき、食欲が落ちてしまうことがあります。そんなときは、前述のスープに加えて、蔡宜方氏が勧める以下のような軽くて手軽に摂れる飲み物で、栄養を補いましょう。
- 果汁:風邪のときは、エネルギーや栄養が不足しがちです。特に糖分は、体に素早くエネルギーを供給してくれるため、果汁は役立ちます。ただし、甘すぎる果汁は鼻水を増やしたり、痰を濃くして咳を引き起こす可能性があるため、必ず水で薄めて飲むのがおすすめです。これにより、呼吸器への刺激を抑えることができます。
- スポーツドリンク:スポーツドリンクもエネルギー補給に効果的ですが、こちらも甘すぎる場合は水で薄めて飲むとよいでしょう。
- グリーンスムージー(グリーンラテ):果汁やスポーツドリンクよりも理想的なのが、グリーンスムージーです。免疫力を高める食材を自由に選んで使えるため、たとえば、ブラックベリーやブルーベリーなどのベリー類、ケールやほうれん草などのビタミンC・Eや植物化学成分が豊富な野菜を組み合わせるのがおすすめです。さらに、ヨーグルトや豆乳を加えることで、プロバイオティクス(善玉菌)やたんぱく質も同時に摂取できます。
胃腸を労り、5つの食品は控えましょう
風邪で胃腸が弱っているときには、以下の食べ物は控えるよう、蔡氏はアドバイスしています。
- 生ものや冷たい食べ物:刺身などの生ものや、菌が繁殖しやすい冷たい食品は避けましょう。
- 刺激の強い食べ物:辛い料理や脂っこいもの(麻辣火鍋、酸辣麺、炭酸飲料など)は消化器官を刺激するため、控えるのが無難です。
- ガスが発生しやすい・発酵しやすい食品:炭酸飲料や、ガスが溜まりやすい食材(さつまいも、カリフラワー、玉ねぎなど)も避けましょう。豆乳に敏感な方は、体調が整うまでは控えるようにしてください。
- 脂肪分の多い食べ物:脂身の多い肉やこってりとしたスープは、胃腸に負担をかけ、不快感を増す原因になります。
- 食物繊維の多い食材:セロリ、雑穀ご飯、ごぼう、たけのこ類などは、胃腸への負担が大きくなるため、体調が回復してから少しずつ取り入れるようにしましょう。
(翻訳編集 華山律)
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