杭州アジア大会での珍事 中国選手2人の写真に「6・4」が浮かび、あわてて削除

2023/10/04
更新: 2023/10/04

現在開催中の杭州アジア大会も、いよいよ佳境である。そのようななか、中国国営の中国中央電視台(CCTV)の公式ウェイボーに掲載された「敏感写真」が物議を醸している。

1日の杭州アジア大会陸上女子100mハードルの決勝レース後、中国代表の呉艶妮選手と林雨薇選手が互いの健闘をたたえ、中国国旗を身につけながら、抱き合った。なお、レースの結果は、優勝候補であった呉艶妮選手が不正スタート(フライング)で失格になっている。

さて、中国選手2人が抱き合う「美しい場面の写真」が、思わぬところから問題視された。

理由は、2人のゼッケン番号の並びにある。2人が抱き合う場面を横から見ると一目瞭然。腰につけているゼッケン番号の「6」と「4」が合わさって「64」となる。「4」のほうが呉艶妮選手である。

「64」と聞いて、誰もが思い出すのは1989年6月4日。厳密に言えば「6月3日の夜から翌4日にかけて」の大惨事であるが、その日に、北京の中心部で起きた六四天安門事件だ。

もう34年前になる「64」である。ところが、その時の犠牲者が流血のまま眼前に飛び出してくるように、CCTVのウェイボー画面に突然浮かんだのである。ここまで見事であると、これは「六四の亡霊のイタズラか」としか思えない。

34年前のその日。天安門広場を中心とする北京市内では、民主化を求める学生や市民に対して、人民解放軍が実弾を発砲。戦車で人をひき潰すなど、流血の大弾圧がおこなわれた。

以来、6月4日は中国当局にとって最もセンシティブ(敏感)な日となった。中国のネットでは事件につながる「64」や「89」の数字をはじめ、この数字にともなう「学生」や「戦車」など、少しでも事件を連想させるような言葉は完全に禁句とされている。

また、こうした言葉狩りをはじめ、関連画像や、関連する名称などを含むネット投稿は、すべて自動的に拒否されるのだ。

にもかかわらず、杭州アジア大会を伝える画面に飛び出した「6・4」の文字。事の重大性に気づいたCCTVは、その後、あわててこの「敏感写真」を削除した。

数字の「64」にあわてふためく官製メディアの「病的な恐怖感」に、海外SNSなどでは、中共当局の検閲を嘲笑するコメントが多数寄せられている。

それにしても、検閲をする中共当局に「聞く耳」があれば教えてやりたい。「そうやって、ビクビクするから、かえって目立ち、笑われるのだよ」と。
 

写真(左)は中国中央電視台(CCTV)の公式ウェイボーに掲載された「敏感写真(赤丸)」。その後の写真(右)では敏感写真が削除されている。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。