中国経済は今、衰退の一途をたどっている。北京や上海といった主要都市でも多くの企業がつぶれ、店舗は閉店した。街は、すっかり活気を失って閑散としている。市民は「消費する余裕がない」と嘆くばかりだ。
いったい中国経済に何が起きているのか。NTD新唐人テレビは複数の現地市民に取材した。
ここは北京市の西北郊外、海淀区にある中関村である。かつては首都圏で最も賑やかな場所の1つだったが、今では灯が消えたように閑散としている。北京市民の王さんは、次のように話した。
「とにかく全体的に景気が悪い。私たちは出来るだけお金を使わないよう、財布の紐を締めているよ。昔のような、節句のたびにお金を使うようなことはなくなった。何もかも値上がりしている。以前は1本9元だったお酢が、今では13.6元だ」
企業の倒産などで、街には失業者があふれている。たとえ失業は免れても、給料は減るばかりだ。いっぽう、物価は大幅に上昇している。消費者の購買力低下により、ますます商品が売れない店舗は苦境に立たされている。
北京と河北省をよく行き来する李さんは、こう語る。
「カルフール(仏系スーパーマーケット)が全滅したように、北京の外資系スーパーは、ほとんどがつぶれた。北京ではウォルマート(米国系スーパー)だけが、まだなんとか頑張っている」
北京に限らず、アジア有数の商業都市・上海でも、あちこちで閑古鳥が鳴いているようだ。上海でかなり立地条件が良い場所であっても空き店舗がたくさんでており、その様子を映した動画が、SNSにも拡散されている。
ある上海市民は「以前、上海の夜は非常に賑やかだった。今では夜8時半を過ぎると、人出も少なくなり閑散としている」と語った。
上海に住む裴(はい)さんは、「(昨年の)パンデミック発生後、多くの人が上海を離れた。そのため、今では道路も渋滞しなくなったほどだ。上海は物価が高すぎる。よほど裕福な人や外地からの出稼ぎ労働者は、ほとんど上海を離れている。残っているのは、一部の中産階層だけだ」と語った。
裴さんがいう「上海を離れた人」は、どこへ行ったのか。おそらく「よほど裕福な人」は海外へ移住し、外地からの出稼ぎ労働者は「上海にいても全く仕事がないので、郷里へ帰った」ということだろう。
また都市部では、店舗の大量閉店のほか、オフィスビルの「空室」も目立つ。
総合不動産サービス会社「サヴィルズ」 の統計によると、今年第2四半期の北京のオフィスビルの空室率は18.3%で、13年ぶりの高水準となった。
また、世界最大の商業用不動産サービス会社・米CBREの統計によると、今年第2四半期の上海のオフィスビルの空室率は18.7%、深センは20.3%、広州は17.5%だという。
これら経済の第一線にあった北京、上海、広州、深センは、これまでの中国経済を牽引してきた有力な都市であった。しかし今では、それらの都市の企業活動は軒並み縮小している。今や中国経済の衰退は「歯止めがかからない状態」にあると見てよい。
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