【寄稿】高市早苗大臣への印象操作報道に隠されたマスコミの「テクニック」

2023/09/25
更新: 2023/09/25

永田町では年内解散が噂されております。一般にはあまりピンとこないかもしれませんが、特定議員に対するメディアの攻撃が始まっていることが1つの表れだと思っています。メディア関係者の中で、解散が噂されると、顕在化する1つの現象です。特定議員とは、高市早苗経済安全保障担当大臣のことです。

高市大臣がパーティー券不正疑惑で二回の刑事告発をされ、旧統一教会関連団体が高市氏のパーティー券を購入したことについて、専門家が「悪質で姑息」と述べる報道がありました。事務的な記載ミスはあってはなりません。虚偽記載は何かを隠蔽するためであったと指摘を受けても致し方ありませんが、一般には人為的ミス、ヒューマンエラーであることが圧倒的に多く、選挙管理委員会に訂正申告することで、収まったものとするのが通例です。しかし一部報道では執拗にこれを拡大解釈し、特定議員の信頼を損なおうとする力が働くのです。この場合、告発したのは共産党関係者である事は言うまでもありません。そしてこの報道は日本共産党の発行する機関紙『しんぶん赤旗』を情報源とするものです。このパターンの場合、大体衆議院解散総選挙直前に類似する報道があるのです。

さらには、高市大臣の他、自民党の萩生田政務調査会長、小渕選挙対策委員長の3人がそれぞれ代表を務める自民党の政党支部が、おととしの衆議院選挙の直前に国の公共事業を請け負っている事業者から寄付を受けていたとの報道もありました。公職選挙法は、国の公共事業を請け負っている事業者が国政選挙に関して寄付することを禁じているからです。

ここにはある種の「報道のテクニック」があります。選挙にあまり関わりを持つことのない一般国民が、政治活動と選挙活動の違いを法的に理解している人がほとんどいないことを利用した印象操作なのです。パッとこの報道に接しますと、何か重大な法律違反をしたのではないかと疑いの念を持ちます。公職選挙法で禁じられているのは、選挙活動に対する寄付であり、政治活動に対する寄付が禁じられているものでは無いのです。しかし、選挙直前であるが故、選挙に対する寄付と言う印象が強くなることを利用しているのです。

この場合、明らかに法律違反をしていないのですが、何か犯罪めいたものがあるのではないかと、火のないところに煙を立てる輩達が、今後大騒ぎを継続するでしょう。よって、頂戴した献金を返還しこの問題を完結させたのです。

また、公共事業を請け負っている企業が、政治家に政治活動に対する寄付を行う事はいくらでもあります。また、寄付を受ける側は、寄付をしてくださる会社が、どんな公共事業の請負をしているかなど、そのすべてを把握している筈もありません。

公共事業請負だけでなく、国から補助金を受け取っているかどうかについても同様です。補助金受給企業から政治家が政治活動に関する献金を受け取ってはならないと言う法律があります。補助金受給に関して、政治家が口利きしたのではないかと疑われるからです。企業と政治家とのあいだで、企業の側がどんな補助金を申請しているか、受給したか?お互いがこのような情報交換をしながら関係を持つ事はほとんどないのです。もちろん、悪意を持ってその企業が補助金受給を可能とするため、政治家が口利きをしていたならば、お互い同じ穴のムジナと言うことになりますが。一般論ですが、知らずに、この状況が発生した場合、献金を返還し、収支報告書を訂正することで完結することがほとんどです。

選挙が近くなりますと、このような報道が多くなります。はっきり言えば、ネガティブキャンペーン以外の何物でもないのです。

解散の話に戻ります。一般に解散総選挙は2つの傾向により行われることが多いです。1つは支持率が急激に上昇している時、もう一つは支持率が下げ止まったときの2つです。

前者の方は皆さんも容易に理解できると思います。現有議席を大幅に超えるほどの支持率上昇があるならば、解散総選挙に打って出る、当然のことです。しかし、後者の方が少々分かりづらいかもしれません。現在の岸田政権の内閣支持率が、この傾向に当てはまるのです。

岸田政権において、内閣支持率や政党支持率がこれから上昇する事は考えられません。これは皆さんもそう思っていらっしゃると思いますし、政権の側もそう思っています。しかしそれでも解散総選挙は必ずどこかでやらなければなりません。前者のように議席を増やすことができるフェーズではありませんので、議席減少を最小限にとどめるタイミングを推し量るのです。今回の内閣改造では支持率は回復しませんでした。回復しないどころか上昇しませんでした。そして下降もしませんでした。あと何度か世論調査を行うでしょう。支持率が下げ止まった段階で10議席程度を失う調査結果が出ているようです。下落傾向が続いているならば、解散は打てません。下げ止まった時に解散されるのです。

マスコミのターゲットは、高市早苗大臣です。高市大臣が落選する事はありえないでしょう。しかし、象徴的にネガティブキャンペーンを行うことで、その効果は絶大だと思います。

目的はそれだけではありません。高市大臣が担当している経済安全保障分野における、セキュリティークリアランス議論をなんとか潰したい勢力が背景にいる事は明白です。思い起こせば、今年の通常国会や4月の奈良県知事選挙で、高市大臣のあらゆる行動は極めて制限されたものとなりました。小西参議院議員による総務大臣当時の疑惑追求。そもそも、行政文書がなぜ小西議員に手渡されていたのかが問題なのであって、その文書に書いてあることのほとんどは、事実とは程遠い何の価値もない文章でした。ところがセキュリティークリアランス議論を進めていきたいという重要な時に、このような妨害行動にあったのです。

解散総選挙はどのタイミングで行われるか?高市大臣に対して、どのような妨害工作が行われるのか、注目していく必要があります。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
長尾敬
前衆議院議員、元内閣府大臣政務官。立命館大学卒業後、明治生命(現・明治安田生命)保険相互会社に入社。平成21年に初当選し、衆議院議員を3期務める。著書に『永田町中国代理人』(産経新聞出版)、『シン・ニッポン2.0 ふたりが教えるヒミツの日本』(三交社、共著)、『マスコミと政治家が隠蔽する中国』(眞人堂)。