【分析】 EUが中国製EVにかかる補助金を調査する理由

2023/09/23
更新: 2023/09/23

EU(欧州連合)は13日に中国製電気自動車(EV)の補助金について調査を開始した。EUは公平な競争を妨げるような不当な補助金が確認された場合、中国製EVに追加の関税を課す可能性がある。

セント・トーマス大学の国際研究教授で、政治学部主任である葉耀元教授はエポックタイムズに応じ、次のように述べている。

中国のEVが比較的安価であるのは、研究開発と製造の両方で中国共産党(中共)政府の補助を受けているためであり、これが不公平な競争を生んでいる。

「現時点で、調査の主要な目的は中国のEVが安い理由を見つけ出すこと。市場の公平な競争に違反している場合、それにどのように対処すべきかを検討する」

「中国製EVが安いのは、EVメーカーは中共政府の資金で運営されているからだ。公正な競争を行っていないため、発展は他国のメーカーより早い。世界貿易において、不公正な競争であれば、いずれの当事者もこのような貿易行為の停止を求める権利がある」

「最も重要な問題は、相手国の基礎産業やEV産業が不公正な競争の結果破壊された場合、その国は将来、自国EVを中共に頼らざるを得なくなることだ。 これはどの国も望まないことだろう」

欧中関係に悪影響

葉教授は、この調査が欧中関係に悪影響を与えると考えている。

「中共は、自国がEVへの投資や補助をしていると認めていないが、中国のほとんどの大手自動車メーカーは国有企業または半国有企業であることは周知の事実だ」

同氏は、不公正競争の問題をめぐって、中国とEUの間で「確執が続くだろう」と考えている。

なぜなら、中共はEVへの投資や補助を認めない。一方で、EUは自身の市場、欧州の自動車メーカーを保護するために、中国製EVの大量輸入を望んでいないからだ。

EU、米国に追随して自国を守る

葉耀元氏は、現在のEUは、中共の不公平な競争に対して、米国と同様に、中国製品に関税を課すようになっていると述べた。

「各国は自国を守らなければならない。どの国も、産業チェーンの特定の部分について、ある国に過度に依存したくはないだろう。さもないと、国の生命線が他国の手に渡ってしまうことになりかねない」と葉氏は指摘した。

葉氏はEUの態度は明らかだと考えている。将来的に市場の主役になるEV市場が中国に奪われ、将来的に中共に頼らざるを得なくなることは避けたいのだ。

中共の不公平な競争への対抗策について、葉教授はこのように分析した。中国製電気自動車の関税を引き上げることは可能だが、それだけではない。直接価格設定を調整したり、あるいはEUに輸出される中国製EVに枠を設けて、毎年輸入できる台数を制限することで、市場での不公平な競争を補う方法もある。

葉耀元(Yao-Yuan Yeh)

政治学博士。

セント・トーマス大学において、国際学・現代言語学科長、政治学学科長、外交・戦略問題修士プログラム・ディレクター、台湾・東アジア研究プログラム・ディレクター、セント・トーマス大学と文藻外語大学のマンダリンセンターのディレクターを務めている。

 北米台湾教授協会テキサス支部の会長、米国中国研究協会の役員、米国政治学会の台湾研究会議グループ(CGOTS)の財務担当、米国中国研究ジャーナルの書評編集者、および東アジア四半期誌の編集委員を務めている。また、台湾ポリシーイニシアティブ(TPI)の共同創設者でもある。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。