今月1日、北京市在住の民主活動家・張宝成氏(64歳)が、訪れた天安門広場で写真を撮影する際に「中指を立てた」ことを問題視され、北京市の警察によって逮捕されたことがわかった。罪名は「騒乱挑発罪(中国語:寻衅滋事罪)」。現在、張氏は保釈されている。
中国の人権侵害を報告するサイト「民生観察」によると、9月1日の昼前、張宝成氏は天安門広場で見物と写真撮影を行った後、正午12時頃に現地警察によって拘束された。その後、本人と連絡が取れなくなった。
翌日、張氏の家族は現地警察から「刑事拘留通知」を受け取った。通知書には「騒乱挑発罪」の罪名が書かれていた。
後に張氏と面会した弁護士によると、張氏は天安門広場で写真撮影する際に「中指を立てた」ことが問題視され「国家の名誉を傷つけた」とされている、という。
張氏本人は「私は、ただ天安門広場へ見物に行くだけで、事前に申請を求められたり、何度も検査されることに対して、不満を表しただけだ。国家の名誉を傷つけるつもりはない」と主張している。
張氏の妻も「夫は表現の自由の権利を行使しただけで、罪を犯してはいない。騒乱挑発罪には当てはまらない」と主張している。
中国の人権問題を扱うサイト「維権網」によると、張氏は2009年から中国の民主運動を推進する活動をはじめ、北京の各所で横断幕を掲げ、チラシを配ったり、民衆に向けたスピーチなどを行ってきた。
その活動がネット上で拡散されて注目を集めたため、過去に数回逮捕されている。2014年に懲役2年、2020年に3年6カ月の刑を言い渡され、獄中ではひどい拷問を受けてきた。昨年末に釈放されたばかりだった。
(張宝成氏の逮捕を通知する「刑事拘留通知」。同氏の妻のツイッターアカウントより)
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