かつては「飛ぶ鳥を落とす勢い」であった中国の不動産大手が今、相次いで経営危機に陥っている。それに関連して、建設が途中で止まった高層マンションなどの「未完成住宅」が各所に林立し、まさに「中国の異様な光景」となっている。
こうしたなか、多額の購入費を前金(ローンをふくむ)で払ったにもかかわらず、夢のマイホームに入居できない所有者による抗議事件は後を絶たない。
今月11日、山東省済南市の「未完成マンション」である「中新国際城」の所有者たちが、再度、デベロッパーである「建邦集団」の本部に赴き抗議をした。
現場を撮影した動画のなかには、所有者と警察の間で衝突が起きている様子や、一部の所有者が警察によって現場から強制的に排除される場面もあった。
これに先立つ8日にも、同じ住宅の所有者たちがデベロッパーの本部で抗議を行っている。所有者は「建邦(集団)よ。我われの住宅を引き渡せ」などのスローガンを叫びながら、「山東建邦(集団)、私たちの住宅を返せ(山東建邦還我們房子!)」と書かれた横断幕を掲げるなどして抗議した。その現場にも、大勢の警官が出動して「安定維持」に当たっていた。
現場で撮影された動画のなかには、ある女性警官が、抗議する所有者に対して「手を出してみろ。それでお前が(警察署へ)連行されれば、自業自得だ!」と激しく悪態をつく姿があった。
今回問題となっている「中新国際城」は、デベロッパーの資金不足により建設途中で放置されて1年以上が経つ。「建設工事を再開する」との発表はあったものの、現場で働く業者の人員はごくわずかで、本来の約束である「今月末の住宅引き渡し」は望めそうもない。
今月13日、NTD新唐人テレビの取材に応じた同マンションの所有者の1人、張さんによると「建設資金が横領され、なくなった。今は建設停止していないが、働く業者が少ないため工期は延び、今月末の引き渡しは無理だ」と肩を落としていた。
この未完成物件の購入者には、初めて住宅購入を経験する若い世代が多いという。
済南市に住む葉さんは、「未完成物件は中国全土にあるが、ここ済南市ではあちこちで見かけるよ。住宅購入者によるこのような抗議は、もはや通常の風景にすらなっている」と話す。
葉さんはまた「中国でそのような未完成物件が多いのは、利益追求をする銀行とデベロッパーが結託した結果だ。政府部門も全く不作為で(抗議をすれば)所有者のほうが弾圧される。外で横断幕を広げて抗議しようとすると、すぐに警察が来て排除される。だから、抗議の様子を動画に撮るのも結構難しい」と嘆いた。
(9月11日、山東省済南市の「未完成マンション」である「中新国際城」の所有者が、デベロッパー「建邦集団」の本部で集団抗議する様子。中国のSNSより)
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