この頃、広東省東莞市のある民営学校が、生徒向けに売り出している「昼寝の資格」が中国のネット上で物議を醸している。
もちろん、授業中にではなく「休み時間に、生徒が少し昼寝すること」を料金制にしたというのだ。対象となる生徒は、小学校高学年から中学生ぐらいの子供であるらしい。
ネットに流出したSNSのグループチャットのスクリーンショット画像のなかで、学校の「林老師(林先生)」が生徒の保護者へ向けて「昼寝資格」の販売通知を出していた。
それによると、机で寝る(イスに座ったまま、腕を枕にし机にうつぶせで寝る)場合は1学期で200元(約4,000円)。敷物を敷いて、教室内で横になって休む場合は360元(約7,200円)。昼休みルームのベッドで休む場合は680元(約13,000円)だという。なお「資格」の購入は任意であり、強制ではない。
この「昼寝資格」について、現地の教育当局は承知しており「生徒の昼寝は教師による管理が必要なため、この値段は妥当なものだ」と主張している。
「昼寝資格」について、エポックタイムズの時事評論家の広宇氏は、「値段が妥当かどうかではない。無茶苦茶な料金徴収のほうが、この問題の本質だ」と指摘している。
広宇氏が言うように、教室の床面や専用ルームで寝るのはともかく、休み時間中に誰にも迷惑かけず、自分の机で仮眠することに対してまで、いちいち「料金」を払わなければならないとは、生徒の家庭から金を巻き上げる口実だと言われても仕方ない。もとより学校のすることではないだろう。
このような理不尽な理由づけによる料金や罰金の徴収は、学校に限らず、中国社会のあらゆる場面で目にすることができる。
空き地を勝手に「駐車場」にして、駐車料金を要求するところもある。警察の交通部門が、あえて運転者が違反しやすいような「罠」をしかけ、待ち伏せして罰金徴収するケースも少なくない。
例えば、高速道路の途中であまりにも唐突に速度制限をかけるのは、うっかり標識を見落としたドライバーからスピード違反の罰金をとるためである。監視カメラに証拠が残るので、スマホに請求通知が来れば、もう逃げられない。
中国の場合、庶民から巻き上げた罰金は、全て地方政府や関連部門の懐に直接入る。実際、一部の公安は「年末になると、ギャンブルの取り締まりを強化する。それは自分たちのボーナス稼ぎのためだ」と公言するほどだ。
「これこそ重大な制度的欠陥だ」。広宇氏は、そう指摘する。
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