このほど、フィンランドの財務大臣が任命する顧問が安全審査を通らなかったことがわかった。
理由は、同顧問の「妻一家と中国とのつながり」とされている。このような事態は、フィンランドではこれまでほとんど起きたことがない。フィンランド紙 「Iltalehti」 8月30日付が報じた。
報道によると、フィンランドの財務大臣リイッカ・プッラ(Riikka Purra)氏は、ジャーナリストでプロデューサーのジャリ・クイカンマキ(Jari Kuikanmäki)氏を自身のメディア顧問に任命しようとした。
ただし、同国では大臣の特別顧問に任命されるにあたり、安全審査を通過することが義務付けられている。従来、ほとんどの人は審査をパスしてきているが、クイカンマキ氏の場合は、異例にも審査を通過できなかった。
フィンランド安全保障情報局(SUPO)がクイカンマキ氏の身辺調査を行ったところ、同氏の妻が以前中国籍であったことに加えて、妻の両親が今も中国籍であり、妻とその両親が近年中国とフィンランドを行き来していることが判明した。これらのことからSUPOは、中国当局による浸透のリスクを考慮して、クイカンマキ氏の安全審査を「不合格」とした。
フィンランドメディアの取材に応じたクイカンマキ氏は、「妻とはフィンランドで十数年もともに暮らしてきた。今はフィンランド国籍を有しており、犯罪履歴もない。なぜ妻と中国とのつながりが、私が顧問になることの妨げになるのか、わからない」と語った。
中国当局が世界各国でスパイ活動を行い、自由世界に浸透してきたことは周知の事実である。
中国の「国家情報法」第7条には「中国の国民や組織は、中国政府の情報活動に協力する義務がある」ということが明記されている。同条文の第7条は、以下の通り。
「(第7条)いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人及び組織を保護する」「(第七条)任何组织和公民都应当依法支持、协助和配合国家情报工作,保守所知悉的国家情报工作秘密。国家对支持、协助和配合国家情报工作的个人和组织给予保护」
すなわち法律上、中国の国民(公民)や企業は、中国政府の指示があれば「スパイとして活動する義務がある」ということにもなる。
クイカンマキ氏の中国出身の妻は、現在は中国籍ではなく、フィンランド国籍を有しているという。しかしフィンランド政府は、政府要人の顧問を認定するにあたって、中国の浸透工作の巧妙さとそのリスクを想定し、同氏の顧問就任を認めなかった。それだけ「十分に慎重な判断をした」ということになるだろう。
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