北京の公安当局による執拗な嫌がらせのため、引っ越しを重ねることを余儀なくされた北京在住の著名な人権派弁護士がいる。その子供の就学が、困難な状況にあることがわかった。
中国で国家政権転覆罪に問われて服役し、出所した人権派弁護士・王全璋氏。しかし、王氏とその家族に対する地元公安による圧迫は続いており、一家3人は、今年4月から数カ月間で十数回も引っ越しを余儀なくされてきた。
一家は今も当局の監視下に置かれており、王氏の身の回りには常に10~20人の当局者が監視したり尾行したりしている。王氏のアパートの玄関先に公安の要員が常時寝転んでいるなど、もはや「嫌がらせ」を超えた精神的虐待と言ってもよい。
引っ越しにより住所が変わったため、王氏の息子(10歳)は5月以降、元の学校へ通えなくなっている。王氏によると、今月(9月)から新学期が始まったが、王氏の息子は、引っ越し先から以前に通っていた学校へ通うには往復8時間かかる。往復で、約40キロの道のりだ。
現在の住居のすぐ向かい側にも小学校がある。そこへ息子を転入させる方法もあるが、当局がまた「子供が通学できないように」何らかの妨害してくることが予測されるため、まだ入学手続きができていないという。実際、公安当局は、王全璋氏を精神的に追い詰めるため、いかなる手段も使うからだ。
しかし、毎日8時間かけて、元の学校へ息子を送り迎えするのは「とても長くは続けられない」として、いま王氏は困り果てている。
「(息子が)どこの学校に通おうと、当局からの嫌がらせは止まない」と確信する王氏夫妻は、当面息子をそばにおくことにしている。
王氏の友人の野氏によると、「王氏の子供が通っていた元の学校でも、当局は子供が学校にいけないよう学校側に圧力かけるなどして嫌がらせをしていた」という。
「中国当局は、弾圧対象の子供を人質にしているのだ。子供に学校に行かせない、という卑劣で恥知らずな手段を使っている」と、友人の苦難を知る野氏は怒りをあらわにした。
同じく北京在住の人権派弁護士・李和平氏一家も、当局の監視や嫌がらせに遭ってきた。李氏の娘が通う学校の近くに家を借りることができないため、やむを得ず、学校からかなり離れた場所に住まいを借りた。李氏の娘は現在学校に通えず、家でオンライン授業を受けざるを得ない状況にある。
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