【独占取材】米国在住の著名人権活動家・王清鵬氏が語る「中国共産党の束縛からの脱却」

2023/09/06
更新: 2023/09/07

米国在住の弁護士で人権活動家・王清鵬さんは、このほどエポックタイムズの独占取材に応じた。

王さんは、中国当局に拘束されている政治犯のために声を上げる「一人一推」運動の発起人でもある。王さんは現在、中国で人権侵害などの犯罪に加担した者たちの顔写真や個人情報をネットに晒す「悪人榜(悪人リスト)」や「中国のファイヤーウォールを壊せ(拆牆運動、#BanGFW)運動」を進めるとともに、海外亡命の中国人弁護士グループが立ち上げた「公民法庭(Citizens Court)」などの活動でもボランティアとして活動いている。

王さんは約4年前にツイッターを通じて、声を上げることができない人たちのために実名で声を上げるようになった。現在、彼女のツイッターのフォロワーは10万人を超えたが、毎日百通を超える「不愉快なメッセージ」が寄せられ、各種ネット暴力にもさらされている。

彼女は本来ならば、移住した自由な米国で夫と子供たちに囲まれて、静かに暮らすこともできた。それなのに、なぜ実名で最前線に立ち、中国共産党に立ち向かうのか。

以下は、王清鵬さんがエポックタイムズ記者に語った、彼女の「ストーリー」である。

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王清鵬さんは70年代生まれ、河北省石家莊の出身で、中国の典型的な中流層である。2011年に、中国当局による自宅の「強制取り壊し」に遭い、その後から陳情を始める。2015年より中国人権弁護士団に参加して、中国の人権状況に注目するようになった。

王さんは2016年、勤務先の法律事務所や地元の司法局から苦言を呈され、警察から「お茶のみ(圧力をかけるために呼び出す)」に呼ばれたこともある。

2017年末に、夫とともに米国へ移住し、現在はワシントン州シアトルの会社でデータ技術者として勤務。プログラマーの夫とともに、2人の娘を育てている。

(今年3月、46歳の誕生日を迎えた王清鵬氏。同氏のツイッターより)

 

悪人の横行より「善人の沈黙」のほうが怖い

「過去の穏やかな日々には戻れません。もうとても、そんな気持ちにはなれないからです」と王清鵬さんは言う。

人はひとたび覚醒すれば、再度洗脳されることはない。中国共産党の邪悪をいったん認識すれば、もはや過去のような、いわゆる「静かな良い暮らし」には戻れないのだという。

「中国では、多くの異見者が中国共産党の暴政を終わらせるために名乗りを上げてきました。しかし、ほとんどが(迫害のため)一家離散するような結末を辿ることになったのです。中国当局が、声を上げて抵抗する人民を厳しく弾圧するのは、なぜだと思いますか。人民の抵抗が(中共を追い詰めるのに)有効だからなのです」

「2022年9月23日、習近平氏の(絵の)顔に墨汁をかけた董瑤瓊さんの父親である董建彪さんが、獄中で悲劇的な死を遂げました。董建彪さんが逮捕されたとき、みんな彼のことを心配して声を上げました。しかし、投獄後、注目度が下がると、彼のことはだんだんと忘れ去られました。これらの異見者たちが、いったん忘れ去られると、中国当局は彼らに対して、なんらはばかるところもなく、やりたい放題の迫害を加えるのです」

董建彪さんの死後、王さんは中国当局に拘束されている政治犯のために声を上げる「一人一推」活動を始めた。彼らが世の中から「忘れ去られないようにする」ためである。

彼らが、中国政府によって思うままに迫害されることを防ぐために、この「一人一推」活動はツイッターを通じて、絶えず中国の「良心の囚人」情報を発信している。

それは中共に対して、絶えず抵抗の声を上げるものとなる。悪人の横行より「善人の沈黙」のほうが恐ろしいからだ。

実家の親を脅迫「お前の娘を黙らせろ」

「言論の自由は、すべての自由の基礎です。しかし、長年海外に住んでいても、実名で、ネット上で本音を語る勇気がもてない華人は、少なくありません」と王さんは指摘する。

王清鵬さんは、2019年末からツイッターを始めた。すると2020年の初め、中国当局は彼女の実家へ警察を派遣し、両親に向かい「お前の娘(王清鵬)を黙らせろ」と脅迫したという。

文化大革命の苦しみを身をもって味わった農民である彼女の両親は、警察からの圧力にとても衝撃を受けた。「母親は私に、泣きながら電話してきました」と王さんは語る。

「中国当局は、私の親戚全員を脅しました。親戚みんなから圧力をかけて、米国にいる私を黙らせろ、と脅したのです」「私が海外で声をあげることをめぐって、両親は半年間、私と絶縁していました」と王さんは当時を振り返った。

中国国内の親族だけでなく、一回も人権活動に参加したことのない夫にまで、その影響は及んでいたという。

「(夫は)本当は自分の両親に会うため、中国に帰りたいのです。しかし、私が中国当局と闘ってきたために、帰れば二度と米国へ戻れなくなるのを心配して、夫は帰国できないでいます」

王さん夫婦はこれまで、この件をめぐって口論することもあった。先週になって、ようやく「冷戦」を終えたばかりだという。

「夫は私を理解できないかもしれません。しかし私は(闘いを)止めることはできないのです」。王清鵬さんは、自身の決意をそう語った。

「沈黙することの代償は、もっと大きい」

中共に抵抗することで、自身と家族が受ける「代償」は大きい。しかし「沈黙することの代償は、もっと大きいのです」と王清鵬さんはいう。

「不当な公権力にノーと言える人。中国共産党の暴政に抵抗する勇気ある人たちに出会って、私の人生は変わりました。中国には、まだこんなにも多くの人たちがいて(中共に)抵抗しているんだと知ったのです」

「私のことを『勇敢だ、偉大だ』と称賛する人もいますが、それは違うのです。私は全く偉大でもなんでもありません。ただ、正常な人間として、正常なことを言っているだけです。ただ私たち(中国人)は、中国に生まれてから正常な人間としての扱いを受けてこなかったため、何が正常なのかさえ、わからないのです」

「他の人からの呼びかけで、私は覚醒しました。だから今度は、私がより多くの中国人、特に海外にいる華人たちを目覚めさせたいのです。(自由のある)文明世界にいても、その思想と行動が依然として中国共産党に縛られている中国人が、本当に多いからです」

全ての在外華人が「中共の束縛から脱却」を

「中国共産党は、長年の洗脳と連座政策をつかって人々を脅してきました。そのため、たとえ中国から海外へ逃れても、中国共産党の悪事を暴く勇気がない中国人は多いのです」

「米国には、暗殺を実行する中共の工作員がたくさんいる、という忠告を私もよく受けます。いま(米国で)ようやく安定した暮らしができました。だから、全てを失うのも怖くない、といったら嘘になります。しかし私は、怖いからといって、これをやらないわけにはいかないのです」

そう決意を表明した王清鵬さんは、海外にいる全ての華人同胞に対し、中国共産党の洗脳と束縛から完全に脱却することにより「恐怖を克服し、正常な人になって、生きてほしいのです」と呼び掛けている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。