米国でEVの在庫が山積みに 第3四半期もディーラーの期待薄

2023/08/25
更新: 2023/08/24

米国では電気自動車(EV)在庫が7月も高留まったままで、車種によっては在庫日数が100日分以上にもなっている。

「最新のEV在庫について、在庫日数が6月の103日から7月の100日にわずかに減少したが、業界平均をはるかに上回った」とインテリジェンス・プラットフォームのコックス・オートモーティが8月10日の投稿で述べた。

在庫日数とは、倉庫が販売する前に在庫を保持している平均日数を指している。この文脈で、数値が高ければ、EVが売れ残ったままで在庫が積み上がり、需要が弱いことを示す。

在庫日数が100日というのは、わずか38.5日だった第2四半期と比較して非常に高い数値だ。

2023年7月、多くのEVには100日以上の在庫日数があった。日産、起亜、現代製のEVは150日以上だった。フォード-150ライトニングの場合は74日だったが、マスタングマッハ-Eの場合はそれ以上だった。

手頃な価格のEVであるシボレーボルトは35日未満であり、ベストセラーEVの中でも最も少ない在庫日数を示していた。BMW i4とキャデラック・リリクも潜在的に需要が高かった。

コックス・オートモーティブのディーラー・センチメント・インデックスによると、ディーラーに「今後、お住まいの地域のEV市場はどうなっているか?」と尋ねたとき、多くは、「2023年第2四半期にマイナスの方向に転じることを期待する」と回答したということだ。

「米国市場では、2026年までに90種を超える新しいEVモデルが発売される予定である。それらの車種が収益性を上げるほどに販売量を伸ばせるのか苦労するだろう」とオート・フォーカスト・ソリューションズが述べたと、ロイターは報じている。

多くの消費者は、EVが自分たちのニーズに合うのかどうかを未だに評価している。「多くの人たちが戦っている市場には自然な成長スピードがある一方で、あり余るブランドが満ち溢れた市場には多くの混乱がある」とEVに特化してサービスを提供する投資銀行家のヴィタリー・ゴロムは語った。

「強い者が生き残り、残りは苦労する」
 

Coxのデータによると、2023年第2四半期のEVの平均在庫台数は9万2千台を超え、前年同期の3倍以上にもなった。

アメリカのEV拒否

最近の調査から、在庫が積み上がるにつれて、EVの購入に抵抗感を持つアメリカ人の意見が定着しつつあることが読み取れる。

2023年7月に発表されたオートリストの年次EV調査では、EVを所有するかどうかと尋ねられたときに、回答者の26%が「いいえ」と答えたということである。

これは前年より5ポイント高い。将来EVを購入すると回答した人の割合は、前年の42%から39%に低下した。

EVがガソリン車に比べて環境に良いと答えたのはわずか38%で、2022年の46%から減少した。ガソリン車の方が環境に良いと答えた人の割合は、この期間中に9%から13%に跳ね上がった。

「これは私たちにとっては興味深い回答だった。これまで、EVはメディアや自動車メーカー自身からも避けられない選択として扱われてきたが、誰もがそのように見ていないことが分かったからだ」とオートリスト創設者兼CEOであるコーリー・ライドソンは語った。

回答者の42%がEVの購入やリースは高すぎることを懸念しており、39%は1回の充電後の走行距離(航続距離)を心配し、33%はEVをどこで充電するかを懸念していた。

EVの充電は、米国では依然として重要な問題となっている。

「国内の公共充電ステーションの数が増加しているにもかかわらず、公共レベル2充電に対する顧客満足度は2022年と比較して2023年に16ポイント低下した」とデータ分析会社J.D. パワーが8月16日に発表した。

1000点満点中の617点という結果は、顧客満足度が2021年の調査開始以来最低レベルであったことを明らかにした。

中国のEV荒れ地

EVは再生可能で環境に優しい輸送ソリューションとして推進されているが、廃棄時にこれらの車両がもたらす汚染リスクに対して懸念が高まっている。

中国では、乗り捨てられたEVが山積みになっている。ブルームバーグの8月17日のレポートによると、特定の地域では何百台もの老朽化したEVが投棄されており、国内の少なくとも半ダースの都市にそのような場所があるということだ。

10年前、中国においては、多くの自動車メーカーが政府の補助金を利用してEVの大量生産に始めた。このような車両は、主に配車サービス会社によってもたらされたものだ。2019年になると北京は補助金の削減に踏み切った。多くの配車サービス会社は生き残れず、大量のEVが投棄されることになった。

過去10年間でEV業界が急速に成長したという事実は、この結末に大きな役割を果たしてきたと言える。新しいEVは、それ以前の車両よりも優れた機能と航続距離を備えている。そのため古いEVには需要がなく、放棄された。

より多くのEVが老朽化したり放棄されたりするにつれて、有毒廃棄物の問題が浮上する。中国では、撤去されたEVバッテリーは2025年までには78万トンに達すると推定されている。

2021年のエポックタイムズとのインタビューで、北京理工大学のWu Feng教授は、「わずか20グラム程度の携帯電話のバッテリーが、標準的な水泳プール3つに相当する水域を汚染する可能性がある」と述べた。

「携帯電話のバッテリーを地面に埋めてしまうと、約50年間、1平方kmの土地が汚染される可能性がある。EVバッテリーは、それよりはるかに大きいため、環境への影響は甚大になる恐れがある」

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
英語大紀元記者。担当は経済と国際。