経済の低迷が続く中国では今、職員に給与を支給できない企業が増えている。
このごろ、長い歴史をもち、業界内でも優秀な技術力を誇る南京市の名高い企業が、なんと数カ月連続で全職員の給料を支給できない状態にある。この問題について中国メディアが相次ぎ報道し、中国の建築設計界を震撼させている。
その名高い企業「南京市建築設計院」のある従業員は、中国メディアにこう訴えた。
「全職員、260人以上が、3カ月連続で給与を支給されていない。基本的な社会保険や医療保険の支払いまで滞納されているため、病院に行くときは全額自費だ。今やごはんを食べることさえも問題になっている。同僚たちは今、みな非常に不安で、仕事をする時も全く元気がない」
また別の従業員は「以前は月給を2回に分けて支給すると言っていた。しかし、結局は支給されていないし、何の説明もなかった」と明かしている。
中国メディアの取材に対し、同企業の担当者は「余計なお世話だ」と取材を拒否したばかりか、「まったくイライラさせてくれる!」などと悪態をついて、かなり態度が悪い。
その後、労働部門の強制介入により、会社側は「8月20日までに、1カ月分の給料と医療保険の支払いに応じる」と約束した。この部分については、確かに約束通り支払いがなされたという。
しかし、8月18日に支払われたのは、3カ月前の「5月分の給料と医療保険の滞納分だけ」であった。6月分と7月分の給料のほか、年金保険など4つの保険がまだ滞納状態にあるという。
中国は現在、想像を絶するほど深刻な「就職難」にある。再就職の可能性が極めて少ないため、給与の未支給が続いても、そう簡単に自己都合で離職することはできないのだ。
無職の人が日々地獄であれば、給料未支給でも働かなければならない勤め人もまた地獄である。そのことは、今の中国のどこへ行っても変わらないようだ。
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