中国ハッカー、台湾支持の米議員メールアカウントに侵入

2023/08/17
更新: 2023/08/17

米国務省のメールアカウントに不正侵入した中国当局とつながりのあるハッカー集団が、台湾支持を表明しているドン・ベーコン下院議員のアカウントに不正に侵入していたことがわかった。

べーコン氏は14日、FBIから不正侵入の通告受けたとSNS「X(旧ツイッター)」に書き込んだ。投稿によれば、5月15日から6月16日にかけて中国ハッカー集団がマイクロソフトのソフトウェアの脆弱性を利用して、議員の個人的なメールと選挙運動用のメールに侵入していたという。

「これは『ユーザーエラー』によるものではない」「中国共産党は我々の友人ではない。彼らはサイバースパイ活動に非常に積極的だ」と憤りをあらわにした。

米政府は7月中旬、中国当局とつながりのあるハッカー集団が5月以降、米国務省や商務省を含む25組織のメールアカウントに不正侵入していたと発表した。影響を受けた政府関係者には、ニコラス・バーンズ駐中国大使やジーナ・ライモンド商務長官らが含まれている。

中国のハッカーがどのような情報を狙っていたのかは不明だ。べーコン氏の事務所広報担当者はエポックタイムズの取材で、ベーコン氏が台湾を声高に支持していることが、北京の注意を引いた可能性があると指摘した。

台湾は現在、中国共産党政権による侵攻に備えるため、米国からの190億ドル相当の武器購入を待っている。しかし、ウクライナ戦争の影響により供給が遅れており、べーコン氏は「190億ドルの兵器を供給できるよう全力を尽くす」とX投稿に付け加えた。

巧妙化する中国のサイバー攻撃

中国ハッカーによるサイバー攻撃を受けて、米議会ではサイバーセキュリティ対策の強化を求める声が上がっている。

今月初め、下院監視・説明責任委員会のジェイムズ・コーマー委員長(共和党)は、アントニー・ブリンケン国務長官とライモンド氏に書簡を送付し、中国によるサイバー攻撃に関する説明を求めた。

書簡は、中国を「国際秩序を再構築する意図と力を持つ唯一の国」であると断言。今回のサイバー攻撃は、中国政権が「粉砕強盗」を凌駕し、「最も技術的に洗練され、ステルス性の高い」レベルにまで達していることを示していると記した。

6月には上院財政委員会委員長のロン・ワイデン上院議員が総務省やサイバーセキュリティー・インフラセキュリティー庁などに対して、中国のサイバー攻撃を許したマイクロソフトの調査を開始するよう求めた。

サイバーセキュリティ企業マンディアントは6月にも、中国当局が支援するハッカーがセキュリティの抜け穴を突き、世界の数百の公共・民間組織のネットワークに侵入したと明らかにした。影響を受けた3分の1は、外務省を含む政府機関だった。

また、マンディアントによると、ハッカーたちは、中国にとって政治的または戦略的に関心のある政府機関に属する個人を対象にしており、その個人が他国との外交会議に参加している間に、その電子メールアカウントへの不正侵入を試みていたという。

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。