［モスクワ　１７日　ロイター］ – ロシア大統領府は１７日、黒海からウクライナ産穀物を安全に輸出させることを主な目的とする国際合意「黒海イニシアティブ」への参加を一時停止したと発表した。トルコのエルドアン大統領は、プーチン・ロシア大統領が合意の継続を望んでいるとの見解を示し、両国の外相が１７日中に協議すると明らかにした。

この合意は、昨年７月に国連とトルコが仲介役となりロシアとウクライナが参加して締結された。これまで何回か延長され、１７日が再び合意の期限になっていた。

ペスコフ大統領府報道官は記者団に「合意はきょう、効力を失った。残念ながら、合意のロシアに関する部分はこれまで実施されていないため効力は消滅した」と述べた。

この合意に対し、ロシアは以前から西側の制裁対象でない同国産穀物や肥料の輸出に障害が残っていると批判していた。

ペスコフ報道官は「ロシア関連の部分が履行され次第、合意に復帰するだろう」と述べた。

夜間にウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア橋が破壊されたこと、合意の不更新とは関係ないと説明した。

ロシア外務省は声明で、ロシア産アンモニア輸出の再開のほか、西側諸国の制裁対象になっているロシア農業銀行の国際銀行間通信協会（ＳＷＩＦＴ）の決済システムへの再接続など、ロシア側の要求は何一つ満たされていないとし、「こうした状況下で黒海イニシアティブの継続は意味を持たない」と表明。ウクライナのほか、トルコと国連に対し「ロシアの履行停止で黒海イニシアティブ７月１８日から機能しなくなる」と通告したと明らかにした。

その上で、ロシアの履行停止は海運の安全保証の撤回、海上人道回廊の終了、協定の実施を監視するためにトルコに設立された共同調整センターの解散を意味するとし、黒海北西部は海運危険海域に再び指定されるとした。

エルドアン大統領は「きょう暗礁に乗り上げた形だが、プーチン大統領はこの人道的措置の継続を望んでいると信じている」と述べ、１７日中に両国外相が協議し、進展が見られることに期待を示した。エルドアン氏自身も中東訪問から戻る１９日にプーチン氏と話す予定だと述べた。

ロシア産穀物・肥料輸出問題についても打開策を探る方針を示した。８月にトルコで対面による首脳会談を行う見通しという。