手の甲を相手に向けて「中指を立てる」ハンドサインは、その相手に対する最大級の侮蔑表現である。もとは米国が発祥らしいが、近年では中国でも一般に知られるようになった。
このごろ、中国版TikTok(抖音)などのプラットフォームに投稿された官製のプロパガンダ動画に対して、ネットユーザーからのコメント欄がひどく荒れている模様だ。
それらの動画は、内容的には「良いことだらけ」である。中国語でいう「正能量(プラスエネルギー)」を前面に出したものだが、それについて「どうせ嘘っぱちだろう」というネットユーザーの反発が大きな潮流になり、無数の「中指立て」につながっているらしい。
つまり、中国のネットユーザーは、中共の官製プロパガンダに対し「中指を突き立てる」ことでブーイングを示しているのだ。
当局による厳しい検閲下にある中国で、人々は自分たちの不満と当局への不服従を表すものとして、やや品位には欠けるが、この「中指立て」を使っているという。
中国国内の情報を発信する、著名なツイッターアカウント「李老师不是你老师(李先生はあなたの先生ではない)」は19日、「人民は自撮り画像をもって、自らの態度を表した」とする投稿をした。
添付された投稿(上記スクリーンショット画像)はどこかのアカウントが投稿した「2021年の各国の世論調査」に関するもの。そのコメント欄には、無数の「中指サイン」の写真が寄せられている事態だという。
例えば、28カ国の国民に調査したという「世論調査」の結果、なんと「政府に対する信頼度」の第1位は中国(信頼度91%)だった。いっぽう、引き合いに挙げられたのが27位の米国(信頼度39%)だ。
このような「官製」の世論調査結果を「不服」とするネットユーザーが相次ぎ、「手の甲を相手に向けて中指を立てる」という英語圏で相手を侮辱するジェスチャーを自ら撮影し、その写真をコメント欄にアップした。
その後、数万本はあったとみられる「中指」の写真と関連コメントは、全て当局によって削除されたようだ。
(「中指立て」の画像で埋もれるのは、台湾関連のプロパガンダ動画のコメント欄。「大陸と統一すれば、台湾はもっと発展するよ」と謳っているが、それに対するネット民の反応は、無数の「中指」だった)
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