禅宗の僧侶であり、中国でも人気の日本人歌手「薬師寺寛邦キッサコ」による4年ぶりの中国コンサートツアーの最中、17日に広州で開催される予定の公演が、開始直前になって突然「キャンセル」される異例の事態となった。
薬師寺氏の中国ツアー「福·愿」では、今月12日から24日の間に、中国の全8都市を巡回公演する予定であった。
ところが、17日の広州公演をふくめ、それ以降の全公演が、中国側からの申し入れにより突然中止になったことが、薬師寺氏本人の投稿で明らかになった。中国当局が公演をキャンセルした理由は、今のところ不明。
薬師寺氏は19日「残念ながら、”福・愿”ツアーはここで終わりますが、必ずまた戻ってきますので、それまでどうかお元気で。皆様に幸あれ」と突然の中止をファンに告げた。
SNS上には「(広州公演の)開演30分前にキャンセルかよ~。ほんとありえない!」といったファンの「阿鼻叫喚」とも形容できるほどの叫びが溢れている。
一部ファンの投稿によると、公演が直前になって中止された広州の会場には「秩序維持のために警察が派遣された」という。
日本の禅僧でもある薬師寺寛邦(やくしじ かんほう)氏は、僧侶として次世代に仏教を繋いでいくため、音楽と仏教を掛け合わせた楽曲を発表する音楽家としても活動しており、中国で非常に人気がある。キッサコは、仏教用語の喫茶去(きっさこ)にちなんだ名前で、薬師寺氏のボーカルプロジェクトのこと。
SNS上のコメントをみると、薬師寺氏のことを「師父」や「大師」などと、敬意を込めた愛称で呼ぶ中国のファンも多い。
今回の突然の公演中止をめぐり、薬師寺氏の公式ツイッターには多くの中国人ファンからのコメントが殺到している。その一部を、邦訳して紹介する。
「中国(当局)が日本の僧侶1人も容認できないなど、本当に悲しい」「師父の仏教が大好きだ。ただこの時代はあまりに狂っている。本当に残念だ」「大師、本当にごめんなさい。ここ(中国)では悪人が支配している。わざわざ来てくれたのに、ご足労さまでした」
こういった中国語でのコメントのほかに、「中国でダメなら、今度は日本で会いましょう」と、わざわざ日本語に直して、励ましの言葉をかけるファンもいる。
また「中国人は日本のアーティストが好きなんだけど(中国の)当局が妨害する。当局のせいで日本と中国は、いつまでも友好に辿り着かない」といったファンからの批判もあった。
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