北京火災で29人死亡 消防署は現場のすぐ裏…報道遅延に批判

2023/04/19
更新: 2023/04/21

北京市内の病院で18日昼、火災が発生し、入院患者ら少なくとも29人が死亡した。病院の裏側に消防署があるにもかかわらず多数の犠牲者が出たことや、政府系メディアの報道が半日遅れたことに、世論からは批判の声が相次いだ。

火災が発生したのは北京市豊台区にある「北京長峰医院」。入院病棟で出火したとみられ、当局が詳しい出火原因を調べている。

ツイッターなどに流出した火災の様子を映したとされる動画には、高層階の窓から白いシーツを垂らすなどして自力で脱出を試みる人や、空調の室外機の上で救助を待つ人たちの姿がみられる。

官製メディア、事件発生から8時間も「沈黙」

今回の火災に関する官製メディアの第一報は、消防の通報があった12時57分から約8時間後だった。

中国国営テレビ局CCTVの公式アプリの事件報道画面(スクリーンショット)

中国SNSウェイボー(微博)には、「事件発生のニュースを知ったのは海外メディアだった」というコメントが多く、北京市当局の通告および官製メディアの行動の遅さを批判する声が多数書き込まれた。

中国メディアによると、患者家族は夜の公式通知を見るまで病院火災を知らなかったという。事件を知り急いで病院へ駆けつけて入院中の家族の状況を尋ねても、「通知を待て」と言われるだけだったという。

この火災事件に関する話題や画像、動画はネット上で消えており検閲に遭っている模様だ。

消防署は病院のすぐそば

北京市人民政府新聞弁公室は19日、長峰病院の火災事故状況報告会を開き、火災事故について説明した。最新統計では犠牲者は29人に上ることがわかった。

「なぜここまで犠牲者が出たのか?災難時に備えるための避難経路の確保はできなかったのか」といった声が相次ぐ中、消防署は病院のすぐ裏手にあったことも明らかになった。

「消防署がすぐ裏にあったにも関わらず死者21人(発表当時)。千を超える官製メディアは火災発生後何時間も経ってようやく報じた。しかし、これはジャーナリズムではなく、真実の隠蔽だ」あるユーザーは痛烈に批判した。

市公安局は19日、北京長峰医院の院長や副院長、施工業者代表を含む12人を「重大責任事故罪」で刑事拘留したと発表した。当局は病院関係者の逮捕によって世論の早期沈静化を図っているとみられる。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!